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“海賊版サイトに対抗” 実業之日本社の過去作を「マンガ図書館Z」で配信する実証実験スタート
絶版漫画の無料配信サイト「マンガ図書館Z」を運営するJコミックテラスと老舗出版社の実業之日本社が、“海賊版サイト対抗”の実証実験をスタート。現在は販売していない実業之日本社の書籍をマンガ図書館Zで配信し、収益化を図る。
絶版漫画の無料配信サイト「マンガ図書館Z」を運営するJコミックテラス(東京都千代田区)と老舗出版社の実業之日本社は8月1日、“海賊版サイト対抗”の実証実験を始めた。実業之日本社で過去に発行した作品のうち、現在販売していないものをマンガ図書館Zで配信し、収益化を図るという。
実業之日本社が抱える作家4358人、全8871冊の書籍が対象(漫画以外も含む)で、公開には作家(権利者)の許諾が必要。作家本人だけでなく、第三者からの素材提供も受け付け、権利者や提供者が収益の一部をインセンティブとして受け取れるようにする。収益は作者が8割を受け取り、残りを出版社と素材提供者が折半する。
現在は販売していない紙・電子作品を配信することで、海賊版での作品流通を防止する狙い。
漫画市場に大きな被害をもたらしたとされる海賊版サイト「漫画村」(今はアクセス不可)などが社会問題化したことを受け、Jコミックテラス会長の漫画家・赤松健さんは4月、出版社と実証実験を行うと公表していた。
実証実験は1年間行う予定。
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