検索
ニュース

「AIが犯罪を予測する世界」が危険なワケ(3/5 ページ)

AIで犯罪を予測・予防するシステムが登場するテレビドラマや映画がいくつも登場している。実際、AIを使って犯罪を防ぐことは可能なのか。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 京都府ではひったくりを予測するシステムをNECと共同開発し、2016年10月に運用を始めています。データから「犯罪が起きやすい場所や時間」を明らかにできるそうです。

 これまでは勘と経験だけを頼りにパトロールしていたかもしれませんが、AIが注意喚起する場所を重点的にパトロールすれば、未然に犯罪を防げる可能性もあります。

 ロジック自体は至って普通で、例えばこの仕組みをタクシーに転換すれば、乗車客数予測システムができるでしょう。NTTドコモのサービス「AIタクシー」や、ディー・エヌ・エーのタクシー配車アプリ「タクベル」などが有名です。

 また、NTT東日本とベンチャー企業のアースアイズは5月に「AIガードマン」を発表。小売り店舗にAIを搭載したカメラを設置し、来店者の不審行動を検知して万引きを防止するサービスを6月下旬から提供しています。

AI
「AIガードマン」

 最近では、「ビッグデータによる暴力団襲撃予測」に関する報道もありました。捜査員が尾行で確認した組員らの動向や、クルマの使用状況といったデータを解析することで、襲撃時期や地域を予測できるそうです。

 もしかしたら九州地方の情報番組では「今日の暴力団襲撃予測は30%、帰り際は念のため防弾チョッキを着込んで帰宅してください」とアナウンスが流れるかもしれません。

 報道では「正確な分析が短時間で可能となる」と県警幹部が自信をのぞかせていますが、ちょっと危ういと感じているのは私だけではないでしょう。

 尾行による監視で得たデータのみでビッグデータといえるのかはともかく、果たしてそれだけで“正確”に分析できるでしょうか。

 「データが不足しているから」という理由で、上記以外のデータを含める可能性はないでしょうか。そうなるとパーソナルデータの目的外利用に当たるかもしれません。予測のために必要以上にデータを収集するとなると、プライバシーの問題も気になります。

 まさか、ヤクザにはそんな基本的人権すら与えられていないのでしょうか。まさに映画「ヤクザと憲法」で描かれた世界の延長を垣間見た気分になります。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る