Mozilla、「Firefox 63」から重いトラッキングを初期設定でブロックする計画
Webブラウザ「Firefox」のバージョン63(10月23日リリース予定)から、ページ読み込みを遅くするトラッキングのブロックを初期設定で有効にするとMozillaが発表した。
Mozillaは8月30日(現地時間)、Webブラウザ「Firefox」の将来バージョンで、Webサイトによるトラッキングを初期設定でブロックすると発表した。トラッキングとは一般に、ユーザーの複数のWebサイトにまたがる閲覧データを収集することだ。
Nightly版で9月にテストし、その結果が良ければ、公式版のバージョン63にこの機能を追加する計画だ。リリーススケジュールによると、Firefox 63のリリースは10月23日になっている。
トラッキングは、ユーザーが知らないうちにプライバシー情報を提供してしまうだけでなく、ページの読み込みを遅くする原因にもなっている。Mozillaによると、平均的なWebサイトの読み込みにかかる時間の55.4%はサードパーティーのトラッカーが消費しているという。トラッキングをブロックすれば、当然ページ読み込みにかかる時間も短縮されることになる。
また、2019年1月29日リリース予定のFirefox 65からは、「ユーザーがWebサイトとシェアするデータを選択しやすい機能」を提供する計画だ。ユーザーのネット上のアクティビティをWebサイトを横断してトラッキングする「クロスサイトトラッキング」を、cookieを削除し、サードパーティからのストレージへのアクセスをブロックすることで不能にする。この機能は既にNightly版でテスト中という。
Mozillaは、これらの取り組みはユーザーを保護するためだけではなく、ユーザーに意思表示の機会を与えるためだとしている。トラッキングを初期設定でブロックすることで、コンテンツと引き換えにトラッキングを要求するWebサイトはトラッキングを許可するようユーザーに頼まざるを得なくなる。これにより、これまでは無意識にデータを提供していたユーザーが、コンテンツと引き換えに自分のデータを提供するかどうかを意識的に選択できるようになる。
米Googleは2月、Webブラウザ「Chrome」に一定水準に達しない広告を自動的にブロックする機能を追加している。
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