筑波サーキットで迫力の“360度”車載映像を撮る 「Insta360 ONE」で試した(2/2 ページ)
サーキットを走る車に「Insta360 ONE」を車載し、360度の動画を撮影してみた。どんな映像が楽しめる?
Insta360 ONEをクルマに固定する
Insta360 ONEは他メーカー同様にスティック型で、使わないときはカメラ本体を差し込んでレンズを保護できる筒型ケースが付属しています。そのケースはそのまま自立スタンドになる他、カメラ本体下部には三脚用のネジ穴も用意されています。今回は三脚ネジを備えたマウントでクルマに固定しました。
レース車両には、横転や激突からドライバーを守る「ロールバー」というジャングルジムのようなものが車内に装備されているため、今回はこのバーにカメラを固定します。
本当はオープンカーであることを生かしてもっと高い位置にカメラを固定したかったのですが、いくら公道ではないサーキットとはいえ、さすがにクルマからカメラが飛び出した状態ではレースに出られません。ここはおとなしくロールバーの内側に収めます。万が一、落下した場合でも車外に放り出されないよう結束バンド(インシュロック)でも固定しておきます。
車内に固定できたら、あとは本体のボタンを2回押して録画を開始するだけ。ちなみに1回押すと写真撮影、3回押すと任意の機能(タイムラプスなど)を呼び出して撮影できます。
ちなみにInsta360 ONEで撮影した動画は「.insv」という独自形式のファイルで保存されます。これはスマートフォンの専用アプリか、PCの専用ソフトでmp4形式にエクスポートできます。今回はPCでエクスポートを行いました。こちらは日本語への言語切り替えには対応していません。
専用アプリ/ソフトでは、360度動画をそのままエクスポートできるのはもちろんですが、好きな視点で固定した通常の動画として保存したり、特定の被写体を選んでカメラが自動で追いかけたりする映像も作れます。さらには360度の広い視野を生かして、ソフトウェア処理でブレを抑えた動画を作ることもできます。ジンバルいらずです。
つまり、「撮影時は取りあえず360度で撮影しておき、後から必要なカットを選んで動画を作る」ことができます。猫型ロボットの道具にありそうな、まさに未来のカメラです。
Insta360 ONEで気に入った点がもう1つ。本体を固定しているマウントを映像から消す処理が非常にうまい。上の車載映像でクルマの進行方向を見てちょうど左上にあるロールバーにカメラを固定していますが、動画を見ると固定マウントの影は見えず、カメラが車内で浮いているように見えます。2つのレンズの映像のつなぎ目が少し甘いところも見受けられますが、非常にきれいに処理できています。
この特徴を生かして、Insta360 ONEは「バレットタイム撮影」という驚きの撮影方法も備えています。自撮り棒や付属のひもを本体に取り付けて頭上でグルグルとカメラを回すと、映画「マトリックス」のような、被写体の周りに複数のカメラを並べて連続撮影する映像表現が簡単にできてしまいます。
こんな撮影ができる全天球カメラは現時点でInsta360 ONEが唯一であり、このモデルを選択する決め手にもなるでしょう。
車載カメラの話題に戻り、こちらはレース本戦のようすです。日没後のシーンもありますが、暗いシーンでもしっかりドライバーやコースが見通せるクオリティーです。
映像を見て違和感を覚えた方もいらっしゃると思いますが、実はここで失敗してしまいました。途中でInsta360 ONEを地面に対して斜めに固定してしまったため、映像も常に斜めに……。360度撮影しているため、後から補正できるかと思ったのですが、ソフトやアプリでそれらしい設定は見当たらず。カメラを設置するときは地面に本体を垂直に固定するべきだと反省です。
追記:アプリでは「FlowState手ブレ補正」をオン、PC用の編集ソフト「Insta360 Studio」では「Auto horizon correction」をオンすると、水平補正が行えるようです。今回はうまくいきませんでしたが、あらかじめアプリでInsta360 ONE本体の「ジャイロセンサーの校正」をしっかりと行っておくとうまく使えるようです。
ちなみに360度動画はVR機器との相性も抜群です。Oculus Goなどで撮影した360度動画を再生してみると、まるで助手席に座っているかのような臨場感を味わう体験ができます。どちらの機器もお持ちの方はそんな楽しみ方もあります。
写真といえばスマートフォンで撮るのが当たり前になりつつありますが、少し視野を広げると面白い製品がたくさん登場しています。あなたも全天球カメラで、他の人とはひと味違う写真や動画に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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