ALS患者らが目で操作 「分身ロボット」が接客するカフェ
寝たきりの人でも遠隔操作できる分身ロボット「OriHime-D」を使って接客する実験的なカフェが期間限定でオープンする。オリィ研究所がクラウドファンディングを開始した。
オリィ研究所(東京都三鷹市)は10月4日、寝たきりの人でも遠隔操作できる分身ロボット「OriHime-D」を活用した実験カフェ「DAWN ver.β」のクラウドファンディングを開始した。ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者なども目で操作し、遠隔から接客できるという。目標金額は150万円で、期限は10月30日まで。支援額は3000円から。
東京・赤坂の日本財団ビルに、11月末から10日間オープンする。OriHimeは、カメラ、マイク、スピーカーを搭載した“分身ロボット”。ネットとPCに接続すれば、ビデオ会議ツールのように遠隔でコミュニケーションが取れる。視線入力インタフェースの「OriHime-eye」を使えば、ALSなど寝たきりの人でもチャットや会話ができる。
OriHime-Dでは、全高21.5センチだったOriHimeを全高約120センチに拡大。新たに下半身を作ったことで、移動が可能になった。オリィ研究所は今夏、ALS患者がOriHime-Dを使い、近くにいる人にコーヒーを手渡す実験に成功している。
実験カフェでは、十数名のリモートワーカーが3〜5台のOriHime-Dを入れ替わりで操作し、接客する。OriHime-Dを介した会話も可能だが、発話が困難な人は指や視線で発話パネルを操作し、合成音声で案内する予定。実験結果を基に課題や改善点を検証し、2020年に常設店を開く考えだ。
今回の実験では、SFアニメ「イヴの時間」とコラボレーション。店内にコラボコーナーを設置する他、記念品物販も用意する。
OriHimeを開発したオリィ研究所の吉藤オリィさんは4日、福祉のICT活用に関するイベントに登壇。「寝たきりでも人生は謳歌(おうか)できる。福祉のICT活用を考えるには、現場を知ることと、テクノロジー理解の両方が必要になる」と語った。
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