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「のばら」には脆弱性がある? 「ファイナルファンタジー」で学ぶ知識認証架空世界で「認証」を知る(2/3 ページ)

小説、漫画、アニメ、映画などの架空世界に登場する「認証的なモノ」を取り上げて解説する連載をITmediaで出張掲載。第1回のテーマは「合言葉」。

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 いくら「のばら」がフィン王国の有名な紋章とはいえ、それだけで反乱軍だと判明してしまうということは、帝国軍の人間もこの合言葉を知っているのではないか……?

 だとすると、反乱軍のアジトに帝国軍のスパイが「のばら」を使って侵入するような事態も起こり得たのではないだろうか?

 大変セキュリティとしては危険であることは間違いがない。例えば、もっと反乱軍を想起しにくい合言葉にするなり、定期的に合言葉を変更するなり、そうした対策が必要なように思える。また、「水戸黄門」の印籠のような、紋章のようなものと組み合わせるのも1つの方法だろう。

 ちなみに、「のばら」を反乱軍とも帝国軍とも関係のない市民に話しかけても「なんのこと?」などとつれない返事が返ってくるだけである。そういう意味では、さすがに一般には流出していない合言葉ではあるようだ。

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余談:他のFFシリーズに登場する合言葉

 余談だが、ファイナルファンタジーシリーズでは「のばら」の選択肢が繰り返し登場する。

 スーパーファミコン版「ファイナルファンタジーVI」では、とある秘密の抜け道を知っている少年へ合言葉を言う際に、「のばら」が選択肢に登場する。しかし、この場合「のばら」は正解ではないのだ。「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」にも「ファイナルファンタジーVI」は収録されているので、正解が気になるならプレイしてみるといいだろう。

 ファイナルファンタジーのオンラインゲームシリーズ「ファイナルファンタジーXI」と「ファイナルファンタジーXIV」にも「のばら」は登場する。特に「ファイナルファンタジーXIV」では「のばら」が暁の血盟という、反乱軍に類する集団の合言葉として使われている。ちなみに、これらの作品では特に「のばら」を他の人に話しかけるようなシチュエーションはないので、合言葉が漏れるようなことは起こり得ない。一安心だ。

新宿の伝言板で「XYZ」?

 合言葉が作品中に登場する例をもうひとつ見ていこう。マンガ「シティーハンター」だ。

 1985年から週刊少年ジャンプ上で連載開始した、少年誌としてはちょっと異色の大人向け作品。新宿でボディーガードや人探しといった裏仕事を請け負う主人公の冴羽(さえば)りょうが、毎回美人の依頼人の仕事をこなす……といったストーリーが基本スタイル。パートナーでヒロインの槇村香と険悪な関係になったりしながら話は進行する。1987年からはテレビアニメ版も放送された。TM NETWORKが歌うエンディングソング「Get Wild」はご存じだろうか?

 さて、「シティーハンター」の作品中、依頼人が冴羽りょうと連絡を取る際に、裏仕事を稼業とする冴羽りょうが、身元不明の依頼人と電話などの通常の手段を使用するのはリスクが高い。

 そこで新宿駅東口の伝言板だ。

 1980年当時の主な駅には、チョークで書き込みできる伝言板があり、「6時まで待ったけど来ないから帰ったよ、プンプン! やよい」などと書き込みされていた。ここに「何月何日 新宿中央公園の噴水にて待つ XYZ」のように記載すると、冴羽りょうと連絡が取れるという仕組みである。

 この「XYZ」が一種の合言葉だ。

 ちなみにこの「XYZ」、同名のカクテルの名前から来ている。「XYZ」、つまり「もう後がない」から「助けてくれ」という意味らしい。

意味もなくまねされることはなかったのか?

 伝言板は公共の場にあり、誰でも自由に閲覧できるものである。だからこそ裏仕事の依頼を隠すには好都合……ということもあったのだろうが、XYZという、いかにも意味ありげな単語を記載するのは、まねする人はいなかったのだろうか?

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