巨額の仮想通貨が流出した仮想通貨交換所「Zaif」を運営するテックビューロは10月10日、フィスコ仮想通貨取引所にZaifの事業を譲渡すると発表した。顧客資産の保護のため、当初はフィスコが50億円の金融支援を行う方針だったが、協議の結果、事業譲渡に至ったという。テックビューロは事業譲渡を完了した後、仮想通貨交換業の登録を廃止した上で解散の手続きを行うとしている。
Zaifでは9月中旬、入出金用のホットウォレットを管理するサーバがハッキングを受け、サーバで管理していた「ビットコイン」「モナコイン」「ビットコインキャッシュ」(約70億円相当、うち顧客資産は約45億円)が流出した。これを受け、テックビューロは、顧客資産の財源確保のため、フィスコとの間で金融支援などを検討する基本契約を結んでいた。
その後、両社で協議した結果、フィスコグループのフィスコ仮想通貨取引所へZaifの事業を譲渡することを決め、10月10日に契約を締結した。支援者側のフィスコのリスクを軽減すること、顧客保護のために迅速な対応が求められることを考慮した。事業譲渡は11月22日を予定している。
フィスコ側は、流出分に相当する仮想通貨などの資産調達を既に終えているという。ビットコイン、ビットコインキャッシュは、フィスコが調達済みの仮想通貨で補填する。現在、Zaifが停止している入出金サービス(ビットコイン、ビットコインキャッシュ)は、運営元がフィスコとなった後、再開に取り組むというが、具体的な日付はあらためて発表するとしている。
モナコインの取引は10日午後5時に中止した。フィスコによる運営が始まった後、再開する計画だ。また、流出したモナコインの補償は、市場流通量がビットコインなどと比べて少なく調達が難しかったとし、約6割はモナコインで、約4割は日本円に換えて支払うとしている。
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