KDDI傘下のSupership、「Syn.」終了後の戦略は
7月に「Syn.」のサービスを終了したKDDIグループのSupershipホールディングスが、今後の事業戦略について発表した。
「Syn.(シンドット)でデータの重要性に気が付いた。データを使った次世代のインターネットにチャレンジしていく」――Supershipホールディングスの森岡康一社長は、10月11日に開いた事業戦略発表会でそう話した。今後は同社が持つデータを活用してさまざまな事業を生み出す「データテクノロジーカンパニー」として成長を目指すという。
KDDIグループのSupershipホールディングスは、Syn.の機能提供などを行っていたSupershipを子会社に持つ持ち株会社。Syn.はKDDIが2014年に発表した構想で、複数のスマホ向けサービスを連携し相互送客するなどして“中心がないポータル”を作ろうとする取り組みだ。
Syn.の発表に先立ちKDDIは「音楽ナタリー」などを運営するナタリーや、ハウツー情報サイト「nanapi」を運営するnanapiなどを買収。その後2015年にはグループ傘下のnanapi、スケールアウト、ビットセラーの3社を合併してSupershipを設立し、Syn.を強化していた。
しかし「売り上げやユーザーの獲得は期待通りにはいかなかった」(森岡社長)として、Supershipは今年7月にSyn.のサービスを終了。Syn.構想に参加するサービスや企業の連合「Syn.alliance」(シンドットアライアンス)を残すのみとなっていた。しかし森岡社長は「Syn.をやってみてよかった」と話す。
「Syn.には非常にたくさんのヒントがあった。ユーザーを循環させるだけでなく、データを循環させれば新しい事業ができる」(森岡社長)
今後はSupershipグループが持つデータの活用などを軸に事業を展開。データサイエンス事業を行うDATUM STUDIOを連結子会社化してデジタルマーケティング事業を強化する他、パートナー企業と連携して広告配信プラットフォームの海外進出を進める考えだ。
10月11日からDMP(データマネジメントプラットフォーム)「Fortuna」(フォーチュナ)も提供する。また、VR(仮想現実)空間でライブやスポーツ観戦が楽しめるプラットフォーム「XRstadium」(エックスアールスタジアム)の提供などを通じてVR事業も推進するとした。
「石油から燃料だけでなくいろいろな製品が生み出されるように、『未来の石油』であるデータからいろいろな事業が生まれると考えている。足掛かりを作ってさまざまな分野に挑戦していきたい」(森岡社長)
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