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“エロ漫画”研究書の有害図書指定、マンガ学会が反対声明 「研究を萎縮させかねない」
地方自治体が、性表現関連の研究書を「有害図書」に指定する動きは「研究を萎縮させかねない」として、日本マンガ学会が反対声明を出した。
日本マンガ学会(会長:漫画家の竹宮惠子さん)は10月11日、地方自治体が、性表現関連の研究書を「有害図書」に指定する動きが「研究を萎縮させかねない」として、反対する声明を公表した。今年3月、『エロマンガ表現史』(太田出版)と『全国版あの日のエロ本自販機探訪記』がそれぞれ有害図書指定を受けたことを憂慮している。
学会が問題視しているのは、いわゆる“エロ本”の自動販売機を記録した『全国版あの日のエロ本自販機探訪記』と、“エロ漫画”の表現について研究した『エロマンガ表現史』の有害図書指定で、前者は滋賀県から、後者は北海道からそれぞれ、有害図書指定を受けた。
学会は両書について、「それ自体がポルノグラフィであるわけではない」と指摘。前者は時代の流れとともに消えつつある「自販機本」とその販売機の現状に関するフィールドワークであり、後者は、エロマンガの中で性的な表現の移り変わりを記述する図書だと説明する。
このような研究書が「青少年の健全な育成を阻害する」とされ、有害図書に指定されると、「公共図書館での収集や提供にも制限をもたらしかねず、また、性的な表現に関する研究の萎縮をも招きかねない」と憂慮し、指定に対して「強い懸念と憂慮」を表明している。
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