Winampが復活するそうだ。かつて1990年代の終わりから2000年代にかけて人気だった音楽アプリ。ミュージックジュークボックスアプリとも言われた中で鉄板の使用率を誇っていた。そのWinampがクラウド、モバイルに対応したモダンなアプリとして2019年に蘇ると米TechCrunchが報じている。公式サイトではWinampの将来について知りたい人はメールを登録するように記載されている。
Winamp(ウィンアンプと読む)は、Windows + Amp(アンプリファイア)+ MP3を組み合わせたネーミングが示すとおり、MP3フォーマットのオーディオファイルを再生するWindowsアプリとして始まった。1997年のことだ。豊富なスキンを差し替えて外観を変更できるのが特徴で、今も使っている熱心なファンもいる。
Winampを開発したNullsoftは1997年、AOL(これも今は知らない人が多いかもしれないが、America Onlineという大規模なBBSからスタートし、現在はVerizonの子会社)に買収された。さらに2014年にはベルギーのネットラジオ会社RadionomyがWinampとNullsoftのもう1つの資産であるSHOUTcastを取得した。買収後はほとんど進展が見られなかったが、今回の発表はこのRadionomyによるものだ。
Winampは開発されてから20年以上が過ぎ、そこからようやくモバイル、クラウドへと展開を果たそうとしている。これまで音楽プレーヤーソフトで継続的に成功を収め、勢力を拡大していったものはほとんどない。例外はAppleのiTunesくらいだ。
iTunesもまた、20年選手だ。元々はCasady & GreeneというMacの独立系ソフトウェアデベロッパー(ISV)のSoundJam MPというアプリをAppleが2000年に買収し、改良したもの。Appleは最初、別のISVであるPanic(最近ではFirewatchというゲームで有名)によるAudionを検討していたが、AudionはAOLへの売却話が進んでいたためこの買収は成立しなかった。そのためにiTunesの土台となるソフトウェアにはSoundJam MPが選ばれた。iTunesとWinampにはこんな因縁があったのだ。
20世紀末に開発された2つのMP3ソフトの20年後は、どこに買収されたかによって大きく異なった。iTunesは当初の削ぎ落とされたユーザーインタフェースはかろうじて維持されているものの、元々の音楽プレーヤー機能以外の役割が多くなりすぎて今では不満の声を聞くことが多い。WinampはAOLから引き継いだベルギー企業によってどのような役割を与えられるのだろうか。iPhoneで使えるようになったら、そんなことを思い出しながら64Kbpsくらいの古いMP3ファイルを再生してみたいものだ。
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