シャープが“超・軽い”肩のせスピーカーを発売 そのウェアラブル度をチェック:体当たりッ!スマート家電事始め(2/2 ページ)
シャープがウェアラブルスピーカー「AQUOSサウンドパートナー」(AN-SS1)を発表した。肩に乗せるスピーカーはこれまでに3社が発売しているが、製品コンセプトは明確に異なる。
接続方法を説明する前にまずAN-SS1を構成するアイテムを整理しよう。本体はネックバンドタイプのワイヤレススピーカーだ。一番の特徴はなんといっても「すごく軽い」こと。質量は約88グラム。参考までにソニーのSRS-WS1は約335グラムだ。むしろソニーのネックバンド型ワイヤレスイヤフォン「WI-1000X」の約71グラムに近い。
このほかにもテレビの音声をスピーカーにワイヤレスで飛ばすためのBluetoothトランスミッターがパッケージになっている。USBメモリと似た外観と近いサイズ感のトランスミッターは、テレビの空いているUSBポートなどに接続してUSB給電する仕組み。USB経由ではオーディオデータまでは受けられないので、テレビのアナログ3.5ミリ端子(ヘッドフォン端子)とつないで、Bluetoothで飛ばすというシンプルな仕様だ。なお、テレビの方にBluetoothのA2DPプロファイルに対応したワイヤレスオーディオの送信機能が搭載されていれば、このトランスミッターは不要である。
トランスミッターとAN-SS1のスピーカー部は最初にペアリングが必要だが、トランスミッターにAN-SS1以外の機器をつなぐことができないようになっているため画面がなくても簡単に設定できる。もう1台購入すれば、 1台のトランスミッターには最大2台のAN-SS1のスピーカーをつなぐことができ、夫婦でお手元スピーカーのような使い方も可能だ。ただ、その場合はトランスミッターを含むセットを2つ購入する必要がある。
カラバリはホワイトとブラック、ネイビーの3色が発売されるので、家族それぞれが「マイAQUOSサウンドパートナー」を使ったら楽しそうだ。
テレビとの接続方法について説明が長くなったが、モバイル端末との接続はもっと簡単だ。トランスミッターを起動させずにワイヤレススピーカーの電源をオンにすると自動でペアリングモードになるので、この隙にスマホやタブレットの設定メニューからAN-SS1を選択してつなぐという段取り。NFCには非対応だが、おそらく誰でも迷うことなく使えると思う。
スピーカー本体に搭載するボタンはできる限り余計なものを抑えて使いやすさを最優先しているようだ。音楽の再生・一時停止とハンズフリーコール用のボタンが本体の左右先端に付いている。音量のアップダウンは右側先端、裏側にあるジョグボタンで操作する。
Bluetoothのオーディオコーデックは最もベーシックなSBCのほかFastStreamに対応する。スピーカーは内蔵バッテリーを定期的に充電しなければならないが、約2時間半のフル充電から約14時間の連続音楽再生が行える仕様は必要十分だ。使わない時にUSBケーブルで充電しておけばいい。
スポーツ番組は自然な包囲感
テレビの音声から聞いてみた。ボーズやJBLのウェアラブルスピーカーのようなどっしりとした低音を響かせることはやや苦手そうだが、ニュースやドラマ、バラエティ番組は人の声がクリアに聞き取れるし、スポーツ番組は自然な包囲感が味わえる。
スマホにつなぎかえてSpotifyで音楽を鳴らしてみた。しゃきっとした張りのあるサウンドで、ボーカルものの楽曲が特に聴きやすい。キッチンでの料理や皿洗いが自然とペースアップする。Wi-Fiを搭載している機器ではないので、音楽再生中はスマホのバッテリーも食ってしまうが、宅内でスマホを充電しながら使えばいいのであまり気にならない。
スピーカーの左側先端にあるコールボタンを短押しすると、ペアリングしたスマホのボイスアシスタントが起動する。Siriの場合は少し連携が遅いようにも感じるが、間合いに慣れてしまえば使いこなせるレベルだ。ただ、例えば料理のレシピをSiriに聞くと「カレーの作り方はこちらです」という具合に、あとはiPhoneやiPadの画面で確認してくれと返してくる。音声だけでのやり取りにAIアシスタントを最適化したデバイスではないので、そこはスマートなサウンドパートナーと呼ばれるようになるためにはもう一つ壁を越える必要がありそうだ。
とはいえ、本機は現行のウェアラブルスピーカーの中では圧倒的に軽いので、長時間身につけているとまるで体の一部であるかのように馴染んでくる。キッチンや洗面所、ベランダなど家の中を忙しく歩き回っている間、いつも心地よく聞こえる音楽が自分に付いてきてくれる快感は手放し難いものがある。
ただし本機のスピーカーは防水仕様ではないので、キッチンなどでは水がかからないようにするなど注意しながら使いたい。シャープがもしAQUOSサウンドパートナーをシリーズ化するのであれば、ぜひ防水対応のモデルも用意してほしいところだ。家の中だけでなく、車の中やプールサイドなど使ってみたら便利に感じられるシーンがほかにもありそうだ。
そして、せっかくAQUOSのファミリーネームを冠する製品なのであれば、ぜひホームネットワークに接続されているシャープのIoT家電を音声で操作できるリモコンの代わりも将来はなってほしい。料理のレシピを目で見ながらチェックしたい。防水対応の「AQUOSポータブル」テレビをキッチンの空きスペースに置いて、画面を汚さずに音声で操作できるといい。
さまざまなカテゴリーにまたがってスマート家電を展開しているシャープだからこそ、皆が待望する本当にスマートなウェアラブルスピーカーが作れるかもしれない。このAQUOSサウンドパートナー「AN-SS1」が「はじめの一歩」になることを期待しよう。
【訂正:2018年10月26日17時00分更新 ※ペアリング方法、オーディオコーデックなどの記述を修正しました】
関連記事
- ソニーの“肩のせスピーカー”「SRS-WS1」を装備してみた――これは次世代のスマートスピーカーか?
ソニーの「SRS-WS1」は、肩にのせるウェアラブルネックスピーカー。キッチンで洗い物をしながらでもテレビの音が聞ける! しかもバイブレーション機能でゲームも楽しい。 - 「皆さん、あっと驚くと思う」 シャープが初の8Kチューナー内蔵テレビを11月発売 倍速駆動で
「皆さん、8Kの映像にあっと驚くと思う」。シャープは10月15日、「CEATEC JAPAN 2018」開幕に先立ち、初の8Kチューナー内蔵テレビ3機種を発表した。 - リモコンは使わせない AI時代のエアコンが目指すこと
シャープとダイキンがAI(人工知能)制御のエアコンを発表。ユーザーが快適に感じる温度や湿度などを学習し、快適さを持続させることが目的だ。いずれはリモコン操作が不要になる? - 家がまるごとスマートスピーカーに? オンキヨーが描く「AIの未来図」
音響機器メーカーのオンキヨーが、独自のAI(人工知能)プラットフォーム「ONKYO AI」を開発している。搭載ハードウェアは、今のところウェアラブルタイプと車載専用のスマートスピーカーという形を検討しているが、実はその先に“家がまるごとスマートスピーカーになる”ような壮大な構想も描いていた。 - 肩に乗せるスピーカー、ソニーが発売
ソニーから肩に乗せるスピーカーが登場。コンパクトながら臨場感あるサウンドを楽しめるという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.