「Google Play Musicは縮小する」 有料の“広告なしYouTube”日本でもスタート 音楽配信は統合へ
YouTubeの有料サービス「YouTube Premium」が始まった。国内向けのオリジナルコンテンツを強化する他、音楽再生特化のアプリもリリースする。
米Google傘下のYouTube日本法人は11月14日、動画再生時の広告除去、オフライン再生、バックグラウンド再生などを行える有料サービス「YouTube Premium」を日本で始めた。月額1180円(税込、以下同)。
同日、音楽再生に特化したアプリ「YouTube Music」も日本でリリースした。YouTube Premiumに加入すると、このアプリ内でも広告スキップなどの機能が使える(YouTube Music Premium)。いずれは既存の定額制音楽サービス「Google Play Music」と統合する方針だ。
「入手困難な曲も含めて、全ての音楽にアクセスできる巨大なミュージックカタログが(YouTube上に)できている」──YouTubeのT.ジョイ ファウラさん(音楽部門プロダクトマネージメント責任者)は胸を張る。
有料サービスの収入は「クリエイターにも還元」
YouTube Premiumは、2015年10月に米国などで始まったサブスクリプションサービス。今年に「YouTube Red」から改称した。サービスに加入すると、動画再生中などに流れる広告を消せる他、動画を端末にダウンロードしてオフライン環境で再生したり、他のアプリの起動中にバックグラウンドで再生を続けられたりする機能が、既存のYouTubeアプリ(iOS、Android)で使える。
YouTube Premiumの契約者だけが見られるオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」も用意する。既に海外で公開しているコンテンツを見られる他、直近では日本国内の人気YouTuberを起用した映画やドラマ、人気アーティストとのコラボレーション番組を新たに追加する予定だ。
12月12日には、人気YouTuber・はじめしゃちょーが主演するドラマ「THE FAKE SHOW」、人気YouTuberが多数出演するホラーコメディー映画「隙間男」、年内にはアーティスト・SEKAI NO OWARIとマーベル・コミックがコラボしたドキュメンタリー「ReIMAGINE」を公開する。
米国でYouTubeの有料サービスが始まった当初は、「(広告除去機能によって)広告収入が減るのではないか」と考えるクリエイターからの反発もあった。クリエイターへの還元について、YouTubeの鬼頭武也さん(日本音楽ビジネス開発統括担当)は、「ユーザーからいただいた代金を原資に還元していく。これはYouTube PremiumとYouTube Music Premiumで同様だ」と説明する。
YouTube Musicアプリ登場 「Google Play Musicを縮小」
音楽再生に特化したアプリ「YouTube Music」(iOS/Android)は、YouTube上にアップロードされたレコード会社などの公式の楽曲、プレイリスト、ライブ映像、カバー楽曲、ミュージックビデオなどを視聴できる。再生中に広告が入るが、無料で使える。ユーザーの好みや場所、時間にあわせて曲を提案するパーソナライズ機能を備えるのが特徴だ。
あいまいな発音(表記ゆれ)による音声入力、歌詞の歌い出し、「車 CM 曲」といったキーワードでも、曲を検索できるという。
YouTube Musicに表示されるコンテンツは、一般ユーザーによるカバー曲なども含まれる。鬼頭さんは「『歌ってみた、踊ってみた』などのコンテンツは、YouTubeを構成する上で重要なコンテンツ。著作権管理システム『Content ID』により、適切な著作権管理を行えている」と説明する。
「音楽を聞く手段としてYouTubeを使う人が増えている。さらに快適で便利に使っていただくために作られたのが、YouTube Musicアプリだ。幅広いコンテンツを楽しめる」(鬼頭さん)
冒頭で説明したYouTube Premiumには、YouTube Musicアプリ内で広告スキップなど同等の機能が使える「YouTube Music Premium」も含まれている。
YouTube Music Premiumは月額980円で単体でも契約できる。既存の定額制音楽サービス「Google Play Music」に加入しているユーザーは、YouTube Music Premiumをそのまま利用できる。その状態でYouTube Premiumに加入するとサービスが重複するため、同社はGoogle Play Musicを解約することを推奨している。
「Googleサービスの全ての定期購読者(有料会員)との関係は維持していきたい。いずれはGoogle Play Musicを縮小し、ユーザーをYouTube Musicに誘導するのがゴールとなる」(ファウラさん)
いずれのプランも、iOSアプリから契約するとYouTube Premiumは1180円→1550円、YouTube Music Premiumは980円→1280円と割高になる。これは、AppleのApp Store手数料を上乗せしている(同社)という。
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