スマートフォンのカメラで正面と側面の写真を撮ると、全身16カ所を自動採寸できる――米国のベンチャー企業Original(サンフランシスコ)がそんな技術「Bodygram」(ボディーグラム)を開発した。
スマホアプリによる自動採寸技術は、ZOZOなどが“自前”でコンシューマー向けに開発しているが、Originalは外部企業に技術を提供するB2B(Business to Business)事業として展開する。オーダーメイドのシャツに限らず、寝具などのメーカーもターゲットに技術を売り込む。
誤差は1センチ以内
Bodygramは、ディープラーニング技術を活用した自動採寸技術。スマホカメラで正面と側面の全身写真を撮り、身長や体重などを入力すると、周囲の背景から被写体のみを自動抽出して肩幅や首回りなど全身16カ所のサイズを出す。衣服を着たまま採寸が可能だ。
Originalによれば、Bodygramの採寸結果とプロのテーラーによるメジャー採寸の結果(800人分)を比べたところ、ほとんどの部位で誤差を1センチ以内にとどめられたという。
同技術をパートナー企業に提供し、自社のWebサービスやアプリに導入できるようにする。「精度の高い採寸データを取得でき、ECサービスの収益向上、返品率の改善に貢献する」(同社)
導入企業がそれぞれ収集したデータは、Originalが企業ごとに用意するAmazon Web Services(AWS)のプライベートクラウドで管理する。これらのデータは、Bodygramの計測精度向上にも生かす考えだ。
オリジナル・ジャパンの藤本学COO(最高執行責任者)は「まずは(ECサイトなどで)一定のトランザクションがある企業がターゲット。2019年度をめどに、日米で2桁の導入事例を作りたい」と意気込む。すでに寝具メーカーのエアウィーヴと業務提携した。体形に合わせて硬さを調節した寝具を生産する過程で、採寸データを活用するという。
「カスタムシャツ市場全体を広げる」
Originalは2015年創業。シリコンバレーで働くエンジニアの『服を買いに行くのが面倒くさい』という意見から、Webサイト上で袖やボタンなどを自由にカスタマイズできるシャツ「Original Stitch」を販売してきた。そうしたB2C(Business to Consumer)のアパレル事業を展開する傍ら、自動採寸などの技術開発にも取り組んできた。
Bodygramは当初、同社のB2Cサービスとしてリリース予定だったが、B2B向けに舵を切る。藤本COOは「他のシャツメーカーと競合するように見えるが、われわれのポジションはソフトウェア会社。Originalが提供したサービスによって、他社がカスタムシャツの市場全体を広げていく可能性もあり得る」と期待を寄せた。
関連記事
- 紳士服コナカ、自動採寸アプリ開発 「ZOZOに先を越されたが、約2年前から開発」
紳士服のコナカが、スマートフォンカメラを活用して服のサイズを自動採寸できる無料アプリを開発している。11月中旬以降のリリースを予定。 - ZOZOの新たな一手は「体型データを勝手に推測」する新技術 前澤社長の狙いは
「ZOZOTOWN」を運営するZOZOが、採寸用スーツ「ZOZOSUIT」なしで最適なサイズの服を提案できる新技術を発表。前澤友作社長は「ビジネススーツすらフルオーダーで作れるのでは」と期待を込める。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.