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夜の広尾で「カオスな宴」 MRとVRが融合、HoloLensで体験した不思議な1時間

リクルートの研究施設で、HoloLensとVR HMDで同じ映像を共有する、リアルとバーチャルを融合させるイベントが開催。記者は現地組としてHoloLensでイベントに参戦した。

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 現実とVR(仮想現実)空間の垣根を越え、あたかも1つの空間にいるかのようにコミュニケーションが取れる――リクルートテクノロジーズは11月22日、同社が運営するオープンイノベーションスペース「アドバンスドテクノロジーラボ」(東京・広尾、以下ATL)で、「リアル-バーチャル勉強会」と題する催しを開いた。

 ヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens」のMR(Mixed Reality=複合現実)映像と、VR HMD上のバーチャル映像を同期させるという前代未聞の試み。広尾のATLにいる“現地組”の参加者はHoloLensを装着してMR上で映像を視聴、“バーチャル組”は自宅など離れた場所で「HTC VIVE」や「Oculus Go」を装着し、ATLを再現したVR空間にアバターで登場した。両者はMRもしくはVRの映像の中で同期され、お互いの存在をアイコンという形(VR同士なら3Dアバター)で確認、ボイスチャットもできる。

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「リアル-バーチャル勉強会」の様子。現地組の参加者はヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens」を着用
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VRユーザーの視点

 今回のイベントでは、バーチャル空間内にプレゼンテーション用のスライドを配置。現地組としてHoloLensを装着した主催者が、今回の取り組みの趣旨などを参加者たちに説明した。HoloLensを通して各エリアに置かれたスライドを見て回るのだが、当然HoloLensを装着していない現場スタッフたちには何も見えないので、頭に大きな装置を付けた大人たちが集団で歩き回っている不思議な構図になっていたようだ。

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みんなでスライドを見ながらプレゼンを聞いている(VR空間)
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現地組はHoloLensで参加
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一見すると何もないが、目の前にスライドがある

 記者も現地組としてHoloLensを装着し、イベントに参加した。当日は現地組20人、バーチャル組約20人が参加し、ATLでは20人弱が同時にHoloLensを付けている状態だった。新しい試みということもあり、ネットワークが混線してボイスチャットが機能しなくなったり、開始時間が40分ほど遅れたりとトラブルも見られた。

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記者も参加。ATLがHoloLensを複数台用意したが、マイHoloLensを持参した人も

 しかし、参加者からは「このカオスな感じが楽しい」とトラブルを楽しむ声も。プレゼンターは音声機能が停止したままプレゼンを再開したが、遠隔からVRで参加している人にはその声は届かない。そんなときも現実側の参加者からは「やはり肉声が最強か」など冗談交じりの反応が。HoloLensでプレゼンを聞くのは不思議な感覚で、「声=男性」「レンズを通して見える現実の姿=男性」「映像越しに見える姿=かわいい美少女アバター」という、現実とバーチャルが見事に入り交じったMRの世界を楽しめた。

「時空を超えた体験を提供したい」 プラットフォーム一般開放も視野

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今回のイベントを企画したアドバンスドテクノロジーラボの松江澄人さん

 今回のイベントを企画したのは、ATLの松江澄人さん。VRシステム開発を行うホロラボと共同で独自プラットフォームを構築し、VRに関心を持つユーザーにアプリを配布して参加してもらったという。今後はプラットフォームの一般開放も視野に入れる。

 なぜ現実とVR空間を融合させることにこだわったのか。松江さんは「リアルにはリアルの良さがある。こういう風に飲み食いしたり、直接対面でコミュニケーションを取ったりできるのはリアルならでは。バーチャルには場所を問わない良さがあり、両方の面白さを融合させたかった」と話す。

 「今度は時空を越えてみたい。今回は空間は超えたが時間は越えてない。例えばniconicoは動画内にコメントを流すことで同じ動画をみんなで楽しむような体験ができる。イベントを録画して配信するなど、やり方はいろいろあると思う」(松江さん)

 HoloLensの多数同時接続による課題も見えた。松江さんは「通信環境やシステム含め、まだまだ改善できる所はある。今回は音声機能がうまく動かなかったがチューニング次第で改良できるだろう」と話す。

 今後もATLではリアルとバーチャルの垣根を越えた新たな体験を提供する企画を考えているとしている。

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