熟練者の“視線”、AIが学習 工場の新人教育などに活用:第3回 スマート工場EXPO
熟練者の視線データを集めることで、新人教育の短縮などに役立てるサービスを、トビー・テクノロジーが提供している。
「工場などで働く熟練者のノウハウを新人に教えるには、視線データが重要になる」――アイトラッキング(眼球運動計測器)技術で知られるトビー・テクノロジー(東京都品川区)マーケティング部の豊村祥子さんは、こう話す。同社は1月16日から開催中の「第3回 スマート工場EXPO」(東京ビッグサイト)に出展、ウェアラブルデバイスとアイトラッキング技術を提供し、匠(たくみ)の技の継承をサポートする。
スウェーデンの本社で開発したメガネ型のウェアラブルデバイス「Tobii Pro」とアイトラッキング技術を活用し、熟練者の視線データを収集。同社のAI(人工知能)技術で収集したデータを分析し、熟練者が無意識で行っていた作業のノウハウを可視化・標準化することで、新人教育などに役立てる。データを収集するにはWi-Fi環境が必要。
豊村さんは「アイトラッキングを活用することで、本人も意識していなかった熟練の作業を言語化できる。例えばピッキング作業なら、見ている場所や順番も作業効率に大きく関わってくる。熟練者ほど視線の動きに無駄がない」と説明する。
新人だけでなく、言葉だけではコミュニケーションが取りにくい外国人労働者への技能伝承にも有効としている。同社によると、実際にサービスを導入した企業のうち、新人の教育期間を3分の2に短縮できた例もあるという。
独自にアイトラッキング機能を搭載したヘッドマウントディスプレイ「HTC VIVE」を使えば、VR(仮想現実)空間での研修も可能。新人を連れていくのが難しい危険な現場での研修をバーチャル空間で体験できるようにした。
豊村さんは「アイトラッキングは、心理学などの学術分野や、購買行動を分析するマーケティング用途にも使える。2〜3年前から製造業に特化したサービスを展開しているが、スキルのばらつき軽減や設備点検時の見落とし減少などにも役立つ」と話す。
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