「AI関連売上を5年で10倍に」 半導体のマクニカがAIに本気な理由
半導体商社のマクニカが、AI(人工知能)事業を本格展開すると発表。関係会社化したインドのCrowdANALYTIXが抱えるデータサイエンティストのリソースをフル活用する。
「AI(人工知能)関連事業を新しい柱としたい」――半導体やネットワークを扱う商社マクニカの中島潔社長は1月24日、AI(人工知能)領域を新規事業として本格展開すると発表した。現在のAI関連事業の年間の売上高は約30億円で、5年後には10倍の300億円を目指すという。
AI関連事業の拡大に向け、同社は1月7日にインドのAI開発会社CrowdANALYTIXの株式のうち41.8%を取得した。CrowdANALYTIXが抱える2万人超のデータサイエンティストのコミュニティーを活用し、リソース不足に悩む国内企業のAI開発を支援する他、海外事例のノウハウを展開して提案の幅も広げる。
これまでも同社は製造や自動運転の分野で、データを取得するためのセンシング技術、AIモデルを実行するエッジ端末、AIを活用した物体認識サービスなど、AI関連サービス提供してきた。今後はCrowdANALYTIXが強みとする流通、ヘルスケアなどの分野にも対象領域を広げていく。
マクニカの森重憲常務執行役員(事業戦略室 室長)は「これまではデータサイエンティスト不足でリソースが足りないことがボトルネックだった。CrowdANALYTIXを関係会社化したことでリソースが格段に増え、顧客企業への提案も幅も広がる」とし、AI関連事業の拡大に期待を寄せる。
CrowdANALYTIXの社員は約40人ほどだが、コミュニティー内のデータサイエンティストたちに同時並行でAIを開発してもらうことでAIモデルを低価格かつ短期間で顧客企業に提供できるようにした。
中島社長は「AI事業は中途半端にやっているわけではなく、思い切って投資している。半導体ビジネスに比べ付加価値や利益率が高いビジネスモデルを目指しているため、利益に与える影響は大きいと考えている」と意気込む。
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