元号はいつから使われている? 意外に知らない元号の話(前編):平成のうちに知りたい元号のこと(2/2 ページ)
普段特別な意識を向けることなく使っている「元号」。そもそも「元号」とは何なのでしょうか、なぜ天皇が変わると改元するのでしょうか。意外に知らない「元号」や「改元」に関する豆知識を、前後編の2回に分けてお届けします。
行政ではなぜ和暦を使うのか
では、今度は法的な側面から元号について考えてみましょう。現在使われている元号は「元号法」によって定義されていますが、意外に最近の法律で、施行されたのは昭和54年(1979年)6月です。施行にあたっては「(元号を廃止し)西暦に統一すべきだ」という議論もあったようですが、昭和52年(1977年)の世論調査では、元号存続派78.4%、廃止派6.7%という結果でした。
しかし、この法律には一般国民に和暦を使用するよう強制する力はありません。行政などの公式文書で現在も和暦が使われているのは、「組織内のルールや慣行として元号を使用している」といったところでしょう。
一方で、公務員の和暦西暦使用については、次のような出来事もありました。広島県内54の公立高校などで卒業証書の発行年月日に西暦を使用したことを巡り、県の教育委員会が各学校長を処分したのです。昭和62年(1987年)のことでした。
この問題について見解を問われた政府は、「県の教育委員会が和暦を使用するよう定めたのであれば、教育委員会が所管する公立学校の教職員はその規則に従うのは当然」と答弁書で断じています。
答弁書の前段には「国・地方公共団体等の公的機関が元号を使用すべき憲法上の義務はない」ということが明記されているものの、公務員である限りは「組織が定めたルールに従ってください」といった結論です。同時に、公的機関においては公務に統一性をもたせるために「元号を使用するよう一般国民に協力を求める」といった趣旨の文言も併記されており、行政機関の文書が和暦で統一されているのは、このあたりに一因があるものと思われます。
では、今回の改元にあたって政府はどのような姿勢を取るのでしょうか。日経新聞は平成30年(2018年)8月に「(政府は)和暦と西暦を併記したり、西暦に統一したりする方針は示さず、各省庁や自治体の個別の判断に委ねる」意向を示したと報じています。身近な行政機関がどのような対応を行うのか、注視しておくとよいでしょう。
ちなみに筆者の知人には、役所に提出する文書や書式の日付欄に和暦記載の項目があった場合、「昭和」「平成」といった文字に訂正線を引いて西暦を記入する、といった主義を貫いている人がいます。彼によると「和暦への変更や訂正印を求められたことはない」ということです。公務員でもない一般人である彼が提出する書類にまで、和暦記入を指導することはできないといったところでしょうか。
元号に対する考え方や思いはさまざまです。ただ、一生のうちに幾度も経験することのできない「改元」という一大イベントが間近に迫っていることは紛れもない事実です。この経験をしっかりと記憶しておきたいものです。
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