食材の鮮度、スマホで管理 Alexa搭載の真空保存システム「Silo」:“日本が知らない”海外のIT(1/2 ページ)
家庭内における“食品ロス”はどうすれば減らせるか。Alexa搭載の真空保存システム「Silo」を紹介する。
冷蔵庫の中の食材を使い切ることなく捨ててしまった経験はないだろうか。
各家庭の廃棄量は積み重ねると大きい。消費者庁の調査によれば、日本国内で食べられずに捨てられてしまった“食品ロス”は年間646万トン(2015年度)で、その約半分が家庭からの廃棄によるものだという。1人当たり年間50キロ、1日当たり茶碗1杯分のご飯を捨てている計算だ。
一方で、家計全体の支出割合は食料が4分の1を占める。食べられないまま捨ててしまっている食材が家計の負担となっているという見方もできるだろう。
米国でも食料廃棄の43%が一般消費者から出ており、問題になっている。その米国でいま、ワンタッチで食材を真空保存できるシステム「Silo」(サイロ)が注目を浴びている。Amazonの音声アシスタントAlexaを搭載し、食材の保存期間を教えてくれたり、料理中に音楽を流してくれたりするのも特徴だ。
食材の鮮度、残量をスマホで管理
「Silo」は、プラスチックの専用容器に食材を入れ、ワンタッチで真空状態にできる保存システム。Alexaを搭載し、「アレクサ、チキンはまだ大丈夫?」などと尋ねると、「まだ5日は大丈夫です」などと答えてくれる。
食材の主な劣化原因である酸素を放出し、食材の保存日数を2〜5倍向上させるという。例えば、調理された鶏肉の日持ち期間が3〜5日から10日ほどに延び、チェダーチーズは1〜2週間から50〜55日に延びるそうだ。フルーツや野菜は廃棄されがちだが、Siloを利用することでブラックベリーの日持ち期間も1〜6日から7〜14日まで延びたとしている。
容器はタッパータイプで作り置きにも適している。汁物でもこぼれず、翌日分の弁当やサンドイッチなどを作っても鮮度を効果的に保てる。
スマートフォンの専用アプリを使えば、食品の在庫や残量、消費のトラッキング、鮮度の確認など、冷蔵庫内の状況を一覧でチェックできる。無駄な買い物や、足りないものを買い忘れるといったことも防げるだろう。
また、保存期限が近づくとAlexaが傷む前に通知してくれる。「気が付いたら賞味期限や消費期限が過ぎていて、手付かずのまま食材を捨ててしまった」という経験は誰でもあるだろう。いちいち食品のパッケージに記載された期限の表示を見なくてもよくなるので、無駄な食品ロスを減らせそうだ。
また、使った方がいい食材を使い切るためのレシピもAlexaに相談できる。残り物で何を作るか悩む人にはありがたい機能だ。食材の保存期間を延ばすだけでなく、傷む前の食材を使い切るサポートもしてくれるので、買い物をするときに気楽に食品を買えるようになりそうだ。
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