キヤノンMJグループ、西東京DCの増設を正式発表 高密度・高集積、20年夏から稼働
キヤノンMJグループが西東京データセンターの敷地内に新棟を建設すると発表。3月1日に着工し、2020年夏の稼働開始を目指す。建設費用は非公開だが、既存棟と同じ150億円程度とみられる。
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)とキヤノンITソリューションズ(CITS)は2月19日、アウトソーシングサービスやクラウドサービス「SOLTAGE」などの提供基盤として使用中の西東京データセンター(東京都西東京市)の敷地内に新棟を建設すると発表した。3月1日に着工し、2020年夏の稼働開始を目指す。建設費用は非公開だが、既存棟と同じ150億円程度とみられる。
西東京データセンターは、地盤強度を指すN値が50以上と高い武蔵野台地の中央部に位置するほか、都心との間に大規模な河川を挟まないため、地震や浸水による被害のリスクが低い点が特徴。
12年から稼働する既存棟は地下1階・地上4階建てで、延べ床面積は1万6964平方メートル。収容可能なラック数は2300ラック、1ラック当たりの給電能力は最大20MVA。電力線や通信回線は2系統で、一連のファシリティは日本データセンター協会(JDCC)が定める基準の最上位である「Tier 4」に準拠する。
収容性、給電能力を強化
新棟は堅牢性を継承しつつ、収容性と給電能力をさらに強化。地下2階・地上3階建て、延べ床面積1万7107平方メートルの建物内に2880ラックを収容可能とし、1ラック当たりの給電能力は最大25MVAに拡充する。電力線・通信回線は2系統。
新棟のCPU室の床耐荷重は1平方メートル当たり1.5トンで、既存棟と同様の仕様だが、高性能なサーバを数多く集積することが可能だ。
キヤノンITソリューションズ 取締役 常務執行役員の笹部幸博氏は「新棟は既存棟とほぼ同じスペースでありながら、より高密度・高集積な環境を構築できる」と自信を見せる。
新棟の稼働開始後、キヤノンMJやCITSなどキヤノンMJグループは改めて西東京データセンターをビジネスの中核に据え、データセンターサービス、クラウドサービス、システム運用サービス、保守サービスなど「ストック型ITサービス事業」を強化。同事業の売上高を21年までに、18年実績比16%増となる2300億円に引き上げる計画だ。
具体的には、大企業だけでなく中堅・中小企業の支援にも手を広げ、ニーズに応じたアウトソーシングやクラウドソーシングを請け負う。後者においては、ハイブリッドクラウド・マルチクラウド構成など、多様なインフラ基盤を提供する体制をさらに強化する。
また、同データセンターの処理能力をフル活用し、数理技術、手書き文字の認識技術、画像認識技術、顔認証技術――といったAI(人工知能)技術の創出・提供にも注力していく。
CITSの足立正親社長は「今後は、顧客の顕在化した課題だけでなく、潜在的な課題も解決したい。顧客とともにニーズを“共創”していければ」と話している。
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