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「本当の失敗は、途中で諦めること」 AI開発は失敗に学べ、ミクシィが“ゼロからの挑戦”で得た教訓:これからのAIの話をしよう(カスタマーサポート編)(4/4 ページ)
AIプロジェクトの失敗からどのような学びを得たのか。ミクシィのエンジニアが語った。
「CSスタッフとコミュニケーションを取り、きちんとした教師データを作るところからやり直します。CSスタッフはデータセットを作るための大量のラベリング作業が必要になりますが、この手間は欠かせません」(豊川さん)
教師データの作り直しと同時に、CS業務のフローも再設計している。これからはAIを活用することが前提になるため、「既に回っているオペレーションを壊すべきではないという過度な配慮」(豊川さん)は捨て、人間の作業をAIに合わせる形で再設計する。
ミクシィが今回の失敗で得た教訓をあらためてまとめてみたい。
- エンジニアと業務部門の密なコミュニケーションは不可欠
- エンジニアのドメイン知識不足をコミュニケーションなどで補う
- AIは教師データの信頼性を担保しない
- まずは信頼できるデータセットを作ることから始める
- AIプロジェクトは失敗するもの。小さく初めて素早く失敗すべし
- 既存の業務にAIを合わせるのではなく、AIに人間の業務を合わせる
最後に、なぜ今回の失敗をブログで公開しようと考えたのか尋ねた。豊川さんは「こうして自分たちの失敗を公開することで、他の人たちが気付きを得られればいいなと思いました」と笑顔を見せる。「これからもどんどん情報を公開していきたいですし、知見を共有したいです」
早ければ2019年度の上半期には改善策の成果を公開できるそうだ。
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