「日本はAIのデータ活用が遅れている」 “データ流通基盤”構築へ、社団法人が設立
AI(人工知能)の研究やデータ活用を行う教育機関や企業らが共同で、一般社団法人AIデータ活用コンソーシアムを設立した。
AI(人工知能)の研究やデータ活用を行う教育機関や企業らが共同で「一般社団法人AIデータ活用コンソーシアム」を3月6日に設立した。企業や研究機関が効率的にデータを活用できるようなプラットフォームやコミュニティー作りを目指す。
AIデータ活用コンソーシアムは、日本のAI研究や社会実装を促進する団体。東京大学、京都大学、日本マイクロソフトなど14の組織で構成される。発起人の1人である長尾真会長(元京都大学総長)は、「日本はAIに関するデータ収集が中国や米国、欧州に比べて非常に遅れている。いろんな分野でAIを研究して社会に浸透させていくために、データを集めやすくなるような基礎作りをしていきたい」と団体設立の背景を語った。
具体的には、企業などから集めた有償・無償のデータを蓄積する「AIデータ活用基盤」を構築し、AIデータ活用コンソーシアムの会員向けにWeb APIを提供する。利用者がデータを活用しやすいように、データの整理・管理、知的財産やプライバシーなどを考慮した契約手続きテンプレートの作成などを行う予定だ。
これまで、研究機関やAIスタートアップなどが企業のデータ等を活用したい場合は、個別に費用や契約などを交渉し、手続きする必要があった。AIデータ活用コンソーシアムが、データ提供者と利用者の間に入ることで、円滑なデータ活用を促進する考え。企業が独自にデータ基盤を構築するより、データ活用にかかるコストを大幅に低減できるとしている。
(1)知財・契約プロセス、(2)AI研究、(3)データ収集・活用、(4)データ基盤、の分野でそれぞれ作業部会(ワーキンググループ)を設置し、関係省庁との調整やデータ取引基盤の構築などを進める。また、現在はAIのモデル構築に必要なデータセットが海外のものに偏っていることを受け、日本固有の画像や自然言語データなどをためていくという。
まずはパイロットプロジェクトとして、公共交通オープンデータ協議会と連携し、プロトタイプとなるサービスを提供。鉄道やバス、飛行機の運行データなどを会員がアクセスしやすい形に整理し、契約手続きに必要なテンプレートも作成する。今年の夏ごろにプロジェクトの状況を報告する予定という。
会員募集は4月から。会費の金額は未定。
関連記事
- 「AI人材がいません」「とりあえず事例ください」 困った依頼主は“本気度”が足りない AIベンチャーの本音
AIベンチャーの立場で、日本企業のAI開発に物申す! 人工知能の対話エンジンなどを開発する田中潤さんと、AI開発の現場に詳しいマスクド・アナライズさんが本音トーク。 - 「大企業は時間を奪っている意識がない」 AIベンチャーが本音で激論、“丸投げ依頼”の次なる課題
AIベンチャーの立場で、日本企業のAI開発に物申す! 人工知能の対話エンジンなどを開発する田中潤さんと、AI開発の現場に詳しいマスクド・アナライズさんが「昔ながらの大企業でAI導入がうまくいかない理由」や「怪しいAIベンチャーを見破る方法」などについて語りつくした。 - 「ビッグデータ」が「notデータ」でAIマジギレ!? “残念なAI導入”を卒業するには
ハロウィーンのお祭り騒ぎのように、AI(人工知能)やロボットブームに沸く日本。「とりあえずAIをしたい」という相談に悩まされてきたAIベンダー担当者が、AIが活用できる分野を紹介する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.