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Appleの純資産は7年前から減少? 投資家目線なら分かるその理由【全文公開】Appleの財務を分析する(5/7 ページ)

成長が鈍化したとはいえAppleの売上は巨大ですし、毎年多額の利益を出しています。にもかかわらず、その利益を貯めておく純資産は、今や横ばいです。Appleの事業の歴史を簡単に振り返るとともに、その理由を読み解いていきます。

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Appleの株主還元の規模感は?

 また、Appleは配当だけでなく自社株買いも大量に実施しています。自社株買いとは過去に発行した自社株(つまりApple株)を、Apple自身が市場で買い取ることをいいます。こうすることでApple株の市場流通量が減少し、既存株主の取り分が増えます。自社株買いをすると株価が上昇することが多く、株主はキャピタルゲインの恩恵を得ることができます。


Appleの一株当たり自社株買い推移 (単位:ドル、ソース:Apple年次報告書)

Appleの一株当たり総還元額の推移 (単位:ドル、ソース:Apple年次報告書)

 配当よりも自社株買いの方がはるかに規模が大きいですね。では、この総株主還元(配当と自社株買いの合計)はどれくらいの規模なのでしょうか。それを把握するためには利益と比較する必要があります。

 つまり、純利益のうちいくらを株主還元に回しているのか、ということです。純利益に占める総還元額の割合(総還元÷純利益)のことを総還元性向といいます。総還元性向が50%なら、100の純利益のうち半分50を株主に返還していることを意味します。


Appleの総還元性向推移 (ソース:Apple年次報告書)

 初めて配当を出したFY12こそ低い数字ですが、FY13以降は90%〜150%もあります。総還元性向が100%を超えるということは、純利益以上のお金を株主に還元していることを意味します。

 無から有は生まれないので、そんなことは理論的には不可能なのですが、負債で調達した資金で自社株買いすることで可能となります。その是非はここでは置いておくとして、とにかくAppleがいかに多額の株主還元を実施しているかがわかると思います。

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