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「過去作の封印は過剰反応」相次ぐ自粛にクリエイターも苦言 ピエール瀧容疑者逮捕の余波

ピエール瀧容疑者の逮捕の余波が広がっている。相次ぐ自粛を受け、映画監督など作品をつくるクリエイターからも「過去作まで封印するようになるのは過剰反応だと思う」など批判の声が上がった。

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 「作品に罪はない」「過去作の封印は過剰反応」――俳優でミュージシャンのピエール瀧容疑者が麻薬取締法違反容疑で逮捕され、過去の出演作まで“自粛”の影響を受けていることについて、ネットでは批判の声が相次いだ。

 瀧容疑者は、1989年に石野卓球さんと「電気グルーヴ」を結成。「Shangri-La」などのヒット曲を持つミュージシャンだ。近年は名バイプレーヤーとして多くのドラマや映画に出演しており、逮捕の影響は多方面に及んでいる。

 映画監督をはじめ、作品をつくる現場のクリエイターからも「過去作まで封印するようになるのは過剰反応だと思う」と批判の声が上がった。

 特に瀧容疑者が出演していたゲーム作品も出荷とダウンロード販売を自粛する事態になり、3月13日のTwitterでは「ジャッジアイズ」など関連するキーワードがトレンド入りし大きな話題になった。

ピエール瀧
ピエール瀧容疑者は羽村京平役でゲーム作品に出演(「JUDGE EYES:死神の遺言」公式サイトより。14日現在公式サイトは閲覧できない)

相次ぐ自粛に「やり過ぎ」の声

 セガゲームスは3月13日、瀧容疑者がCGのキャラクターとして登場するゲーム作品「JUDGE EYES:死神の遺言」の出荷とダウンロード販売、公式サイトの掲出を当面の間自粛すると発表。Twitterのセガ公式アカウントは同作品に関するツイートを削除した。

 ゲーム内にCGキャラクターとして登場した芸能人の不祥事でゲーム販売自体を自粛するめったにない例とあり、Twitter上では「過剰な対応」「何で販売自粛?」と疑問視する声が相次いだ。

 NHKの大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」は、放送は継続するものの、今後の瀧容疑者の出演シーンについての対応は「検討中」(NHK)としている。NHKによると、「とと姉ちゃん」「あまちゃん」「龍馬伝」シリーズの全作品と、「いだてん〜東京オリムピック噺〜」の瀧容疑者出演回などの配信は当面停止するという。

 音楽活動も影響を受けた。瀧容疑者と契約関係にあるソニー・ミュージックレーベルズは、瀧容疑者および電気グルーヴのCDや映像商品の出荷停止、店頭在庫の回収、音楽や映像のデジタル配信の停止を発表。ウォルト・ディズニー・ジャパンも、映画「アナと雪の女王」で瀧容疑者が担当したオラフの日本語吹き替え声優を交代することを決めた

ピエール瀧
ソニー・ミュージックレーベルズの対応について(公式サイトより

 こうした事態を受け、映画監督などクリエイターや識者からも批判の声が上がった。劇作家・演出家の鴻上尚史さんはTwitterで「出演者の不祥事によって、過去作品が封印されるなんて風習は誰の得にもならないし、法律的にもなんの問題もないし、ただの思考停止でしかない」と投稿。映画監督の鶴田法男さんも「過去作まで封印するようになるのは過剰反応だと思う」とツイートしている。

 もちろん薬物の所持や使用をしていたならそれはいけないことだが、それで過去作品に触れられなくなることはファンも望まないだろう。また、このような不祥事が起きるたびに“自粛”が相次ぐのは音楽や映像といった文化の発展を考える上でも好ましいとはいえない。

 また石野卓球さんは3月14日にTwitterを更新。23日に北海道で開催予定だったイベント「Pump It Presents Takkyu Ishino」が中止されることを受け、「だとよ」とだけツイートした。ファンからは「電気は電気。石野卓球は石野卓球」「呟いてくれただけでも嬉しい」など激励の言葉が集まった。

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