国内IaaS/PaaS市場、止まらぬ拡大 22年度には計1兆円超えへ
調査会社のアイ・ティー・アールが、国内のIaaS/PaaS市場規模と今後の予測を発表。2017年度現在、両市場の規模は前年度比34.1%増となる計3575億5000万円。その後も引き続き拡大し、22年度には計1兆1066億円に上る見込みとしている。
調査会社のアイ・ティ・アールはこのほど、国内のIaaS/PaaS市場規模と今後の予測を発表した。2017年度現在、両市場の規模は前年度比34.1%増となる計3575億5000万円で、上位企業を中心にほぼ全てのベンダーが順調に売り上げを伸ばしたという。市場規模は引き続き拡大し、22年度には計1兆1066億円に上る見込みとしている。
IaaS市場は5年間で約2倍に
個別にみると、17年度現在のIaaS市場規模は2529億円。今後は、18年度は3225億円、19年度は4002億円、20年度は4823億円、21年度は5339億円、22年度は5763億円と推移するとみられる。
好調の要因は、ハイブリッドクラウド環境やマルチクラウド環境を導入する企業が増えているため。アイ・ティー・アールは「各ベンダーはクラウドサービスを重点商材として販売に注力しており、ユーザー企業による売り上げ増を下支えにIaaS市場は今後も拡大する」と分析する。
PaaS市場は5年間で約4倍に
また、17年度現在のPaaS市場規模は1047億円で、18年度は1651億円、19年度は2279億円、20年度は3001億円、21年度は3640億円、22年度は4303億円と増加を続ける見込みという。
同社はPaaS市場の現状を「クラウドを活用し、新規ビジネスを創出して新たな市場を開拓しようとする企業が増加している。デジタルイノベーションを推進するシステムを迅速かつ低リスクで構築することを目的として、PaaSに対する期待が高まっている」と分析。
「提供サービスの種類や数、品質などで差別化が図りやすいPaaSの販売を強化するベンダーが多く、それに伴ってPaaSを導入する企業も増加傾向にあり、今後こうした流れが拡大していく」と予測している。
ただ、成長が見込まれる市場環境において国内企業が競争力を保つには、大手海外ベンダーに対抗しうるサービスを構築する必要があるとし、同社アナリストの甲元宏明氏は「国内クラウドベンダーは、さらなる売上拡大に向け、グローバルで大きなシェアを持つAWS(Amazon Web Services)とMicrosoft Azureとの差別化が急務となる」と指摘している。
関連記事
- F5、急成長のWebサーバ「NGINX」開発元を買収
F5 Networksが、軽量・高速なオープンソースのWebサーバ「NGINX」を提供しているNGINXを6億7000万ドルで買収すると発表。 - ランサムウェア+標的型攻撃=? 新たな攻撃、被害は数百万ドル
海外で「標的型ランサムウェア」による被害が広がっている。ランサムウェアというと「脆弱性が存在するPCやIT機器を無差別に襲うもの」というイメージもあるが、違うタイプという。対策は。 - AI注力のNVIDIA、HPCのMellanoxを69億ドルで買収へ
NVIDIAが高性能データセンター向けソリューションを手掛けるMellanoxを買収すると発表した。買収総額は同社としては過去最大規模の69億ドル(約7700億円)。好調なAIやクラウドコンピューティング分野強化が狙い。 - はてなのサーバ監視用SaaS「マカレル」、機械学習による異常検知に対応 エンジニアの負担軽減
はてなのサーバ監視用SaaS「マカレル」向けに、機械学習を活用してサーバの異常を検知できる新機能「ロール内異常検知」のβ版が登場。複雑な監視ルールの設定やメンテナンスが不要なため、エンジニアの負担を軽減できる。正式版は5月にリリースする予 - Google、「Cloud Services Platform」をβ公開 オンプレミス環境の「GKE On-Prem」も展開、ハイブリッドクラウド戦略を前進
Googleが「Cloud Services Platform」のβ公開を開始。同社のクラウドアプリケーション実行環境を、オンプレミス環境とクラウドの両方で一貫性のあるハイブリッドクラウド構成へも展開可能に。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.