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技適マーク、IoT対応緩和へ 技適なし最新端末が日本で使えるように(後編)(1/3 ページ)

技適緩和によってどんなことが起きるのか。ITジャーナリストの山崎潤一郎氏が総務省の技適担当者に詳細を聞いた。後編をお届けする。

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 IoT時代にふさわしい技適(技術適合証明)の特例制度について触れた前編『もう「日本スルー」はなくなる?技適なし最新端末が日本で使えるように』に続き、後編では、現在、総務省令の改正が進行しているIoT端末に向けた技適マークの表示ルールについて解説する。

 技適マーク表示の在り方を紐解けば、技適制度の基本的な考え方はもとより、技適に何らかの不備のある端末を利用した場合、端末メーカーや販売者ではなく利用者が処罰の対象となるという電波法の謎な部分についても知ることができる。

IoT時代にマッチした技適マークの表記とは

 2010年4月、米国で初代iPadが発売された際、技適に関してちょっとした騒動が持ち上がった。日本での発売が遅れたことから、待ちきれない一部ガジェット好きが、米国版iPadをいち早く購入し日本で使用を開始したのだ。この行為に関して、技適に厳格な態度で臨む「技適原理主義」の人々がソーシャルメディア等で電波法違反を指摘し、ネットが大いにざわついた。

 この一件、iPad自体は、グローバル端末として米国発売前の3月22日に相互認証により技適認証を得ていたものの、米国版ということで、本体への技適マーク表示がなされていなかったことから使用者の電波法違反が疑われた。素人目には、「実質的に技適の認証を得ているのだからうるさいこと言わなくいいじゃん」と思ってしまうのだが、法律(総務省令)で表示が義務付けられている以上は、ルールに従う必要がある。

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技適マーク表記の直径3ミリ未満を認める省令改正が進行中

 この技適マークの表示に関する省令が改正され2月8日公布・施行された。現在、表記の要件として、直径3ミリ以上が義務付けられている。これは、利用者が技適認証済みの端末であるかどうかを利用時に視認することができるようにという考え方があるからだ。この要件を緩和し、視認可能な範囲で技適マーク表記の直径3ミリ未満を認める省令改正が行われた。詳細は、認証技術支援センターのPDFドキュメント「技適マーク表示方法の改正に関して」を参照してほしい。

 背景にあるのは、IoT端末の小型化と高集積化だ。Wi-Fiなどの近距離無線通信技術の進化に伴いIoT端末の小型化が進んでいる。また、「モノのインターネット」というだけあり、あらゆる大きさや形状の「モノ」が無線端末になりうるのがIoTだ。そうなると、現在の直径3ミリ以上の表記という要件を満たせない端末も登場するだろう。技適マークの表記が足を引っ張る形で、日本のIoTビジネスの進化やイノベーションが阻害されるようでは、政府が掲げるSociety 5.0の実現もおぼつかない。この改正は、その懸念を払拭しようという狙いがある。

 認証マーク表記のシバリは、技適だけではなく、FCC(米国の認証基準)がフォントサイズなどを規定したり、CE(欧州の認証基準)が製品種別ごとにマークの高さを規定するなど、各国で取り入れられている。FCCとCEに関しては、すでに技適より小さな表示が許されている。認証マークの「視認」要求は、万国共通のものなのだ。

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