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Coinhiveで“無断採掘”に無罪判決 横浜地裁

仮想通貨マイニングツール「Coinhive」を設置し、不正指令電磁的記録保管罪に問われた男性に対し、横浜地裁が無罪を言い渡した。

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 Webサイトの閲覧者に仮想通貨をマイニングしてもらうことで収益を得られるツール「Coinhive」を、閲覧者に無断で自身のサイトに設置したとして、不正指令電磁的記録保管罪に問われた男性に対し、横浜地裁は3月27日、無罪を言い渡した。検察側は罰金10万円を求刑していた。

 判決では、男性がCoinhiveを設置した際、閲覧者の同意を得る仕組みがなかったため「人の意図に反する動作をさせるべきプログラム」とした。一方、消費電力の増加や処理速度の低下といった閲覧者への影響は、Webサイトに表示される広告と比べても「大きく変わらない」と判断。「不正な指令を与えるプログラムと判断するには、合理的な疑いが残る」と結論付けた。

 また、警察が事前に注意喚起や警告を行わず、いきなり刑事罰に問うのは「行き過ぎの感を免れない」とも指摘している。

「解釈がめちゃくちゃアバウト」

 Coinhiveは、専用のJavaScriptコードをサイトに埋め込むと、閲覧者のPCのCPUパワーを活用し、仮想通貨を採掘する。男性は2017年秋ごろ、広告に代わるサイト収益化の手法として、自身のサイトにCoinhiveを1カ月間ほど設置していた。

 翌18年2月、男性は、神奈川県警に不正指令電磁的記録(ウイルス)供用・保管の容疑で摘発された。警察は、サイト閲覧者の許可なく設置したCoinhiveを「(所有者の)意図に沿うべき動作をさせず、またはその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」(ウイルス)であると判断した。

 男性は警察から「事前に許可(もしくは予感させること)なく他人のPCを動作させたらアウト」と説明を受けたというが、「解釈がめちゃくちゃアバウト」と反論。ネット上でも警察の対応について、法的根拠を疑問視する声が出ていた。

 男性は3月下旬、検察庁で取り調べを受け、罰金10万円の略式命令を受けた。しかし男性はこれを不服として、異議を申し立てる刑事裁判を起こしていた。

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