早慶に計10人合格、不登校経験者が前向きに――設立3年「N高」の実力(2/3 ページ)
通信制高校「N高等学校」が間もなく開校3周年を迎える。これを記念した会見に、ドワンゴの新社長の夏野剛氏らが登壇。現在の生徒数や卒業生の進路などを語った。
脱落者は少数派
また、通信制ではあるものの、担任制を導入し、教師がチャットツール「Slack」上でホームルームや生活指導を行うなどのフォローを充実させているため、N高を途中で脱落する人は比較的少ないという。
具体的には、初年度の入学者(1期生)のうち、19年3月に卒業した生徒の割合は74.0%で、留年した生徒は15.7%にすぎなかった。「『在籍しているのに単位が取れない』という生徒が少なく、かなりいい数字だ」と夏野社長はみる。
不登校だった子は“特殊”ではない
通信制という特性上、初年度は312人の入学者が過去に不登校を経験していたが、そのうち77.1%が卒業までに進学・就職といった進路を決めていた。この数値は、通信制高校の進路決定率の全国平均(61.5%、文部科学省の調査を基に同学園が集計)を大きく上回っていた。
不登校を経験していない人を含めた進路決定率も81.8%と高く、夏野社長は「不登校の子もそうでない子も、チャンスを用意すればあまり変わらない」と説明。教育体制を整えれば、過去の経験にかかわらず、生徒は主体的に人生を切り開けるとの見方を示した。
進路決定には、地方に滞在して刀鍛冶など伝統的な職業を体験する授業や、ドワンゴのエンジニアがプログラミングを教える授業などが一役買っているといい、今後もこうした取り組みに注力する方針だ。
「不登校だった子は“普通”で、原因も小さないさかいだったりする。何か特殊な子というわけではない。今後は(不登校だったか否かを問わず)全体的な進路決定率を上げていきたい」(夏野社長)
早慶に合格する生徒も
主な進路は専門学校への進学(36.2%)、就職(26.8%)、大学進学(18.8%)など。受験して有名大学に合格する人もおり、18年度は慶応義塾大学に8人、早稲田大学に2人、上智大学に1人、九州大学に1人、筑波大学に2人が合格した(慶大の合格者のうち1人は浪人生、他大学は全員が現役生)。
夏野社長は「まだ東京大学に受かる人はいないが、慶大8人は結構多いのでは。いつか週刊誌の『難関校合格ランキング』に載りたい。有名校に混ざって『N』の名があれば面白い」と笑う。
ただ、「N高は進学校ではないので、東大合格者を輩出することを目標にはしない。結果としてそういう生徒が出て来るプラットフォームを作りたい」(夏野社長)とし、生徒の自主性を重んじる姿勢を示した。
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