弁護士が解説 “平成30年改正著作権法”がビジネスに与える「衝撃」:「STORIA法律事務所」ブログ(5/5 ページ)
弁護士の柿沼太一さんが、著作権法改正により可能になるサービスについて解説します。
その他の要件
新47条の5が適用されるための要件はその他にもいろいろあるのですが、細かいのですが注意を要するのは「一定要件に従って情報収集・結果提供をしなければならない」という点です。
具体的には、1項の「当該行為を政令で定める基準に従つて行う者」2項の「当該行為の準備のための情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者」とは、どのような者かという点です。
この点については、改正著作権法施行令と改正著作権法施行規則に定められていますが、ざっくり整理したのが以下の表です(正確なところは条文をご参照ください)
まとめ
以下まとめです。これら新規ビジネスをお考えの方の参考になれば幸いです!
▼「書籍検索サービス」「テレビ番組検索サービス」「街中風景検索サービス」「映画検索サービス」「曲名検索サービス」「評判情報分析サービス」「論文剽窃検出サービス」など、いわば「リアルワールド検索サービス」「情報解析サービス」が一定の要件の下で適法となった
▼これらのサービスでは、「軽微利用」など一定の要件を満たせば既存の著作物を自由に利用可能
▼細かいところだが、収集できる情報の範囲に限定があることに注意
著者プロフィール
弁護士・柿沼太一
1973年生まれ。00年に弁護士資格取得後、著作権に関する事件を数多く取り扱って知識や経験を蓄積し、中小企業診断士の資格取得やコンサル経験を通じて企業経営に関するノウハウを身につける。13年に、あるベンチャーから案件依頼を受けたのをきっかけとしてベンチャー支援に積極的に取り組むようになり、現在ベンチャーや一般企業、著作権関係企業の顧客多数。STORIA法律事務所(ストーリア法律事務所)所属。経産省AI・データガイドライン検討会検討委員。ブログ更新中。
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