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「Coinhive」訴訟、横浜地検が控訴 弁護人「何が何でも有罪にしたいのか」
仮想通貨マイニングツール「Coinhive」を閲覧者に無断で自身のサイトに設置したとして、不正指令電磁的記録保管罪に問われたデザイナーの「モロさん」に無罪を言い渡した横浜地裁の判決を不服とし、横浜地検が東京高裁に控訴した。
仮想通貨マイニングツール「Coinhive」を自身のサイトに設置したとしてデザイナーのモロさんが不正指令電磁的記録保管罪に問われていた裁判で、横浜地検は地裁の無罪判決を不服として4月10日付で東京高裁に控訴した。求刑は罰金10万円。
ITmedia NEWSの取材に対し、モロさんの弁護人である平野敬弁護士は「(Coinhiveを巡っては、警察側が)合同捜査本部を設置し(モロさんの他にも)20人程度を検挙しているため、1件の無罪判決が出れば他の人にも波及するだろう。何が何でも有罪判決にしたいのではないか」とコメントした。
Coinhiveは、専用のJavaScriptコードをサイトに埋め込むと、閲覧者のPCのCPUパワーを活用し、仮想通貨をマイニングする。採掘益の7割が、サイト運営者に配分される仕組みだった。神奈川県警などは昨年から、こうしたプログラムを閲覧者に無断で自身のサイトに設置したとして21人を検挙している。モロさんもそのうちの1人だった。
モロさんは2017年、広告に代わるサイト収益化の手法として、自身のサイトにCoinhiveを1カ月間ほど設置した。すると昨年、不正指令電磁的記録保管の容疑で神奈川県警から家宅捜索を受け、罰金10万円の略式命令が出た。モロさんはこれを不服として異議を申し立てる刑事裁判を起こし、今年3月に横浜地裁が無罪判決を言い渡していた。
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