KDDIと東芝、IoTで協業 日本企業の海外進出を支援「5G生かしたい」
KDDIと東芝がIoT事業で協業する。両社の強みを生かし、IoT通信プラットフォームで日本企業の海外進出を後押しする。
KDDI、東芝、東芝デジタルソリューションズは4月23日、IoT事業で協業すると発表した。KDDIが2019年度の商用化を目指すIoT通信プラットフォーム「IoT世界基盤」と、ものづくりの現場を支える東芝のIoTサービス「SPINEX」(スパインエックス)を連携し、日本企業の海外進出をサポートする。
日本企業が海外でIoT事業を展開するには、各国の通信事業者と交渉して回線契約を都度行ったり、使用するデバイスについて各国の技術認証を取得したりする必要があった。
国ごとに適した通信環境の提供や、法規制の調査、技術認証の申請や取得など、煩わしい手続きをKDDIが代行。IoT世界基盤上で、IoT機器の通信接続からデータの収集・蓄積、データの可視化、分析とその先の活用までワンストップで提供することで、世界各国に広がるIoTデバイスを一元管理できるようにするという。
KDDIは2018年6月に、IoT事業で日立製作所との協業を発表した。今回は、日立と同じく製造やインフラなど幅広い事業領域のノウハウとデータ活用の実績を持ち、AI(人工知能)技術の研究開発などに取り組む東芝と協業し、日本企業のIoT事業を後押しする考えだ。
まずは、東芝エレベータ(神奈川県川崎市)がアジアを中心に稼働させているエレベーターの遠隔監視サービスで新しいグローバルIoT通信プラットフォームを導入できないかを5月に検討する。今後は日本で2020年に商用化される5G通信を生かしたサービスも検討していくという。
東芝デジタルソリューションズの錦織弘信社長は、「KDDIとは長いリレーションシップがあり、グローバルな力を既に持っている会社なので、一緒にIoT事業を作り上げていきたい。GAFAは膨大なデータを集められるが、(実際にデータを必要とする工場などの)現場を持っていない。東芝は自分たちで長年ものづくりをやってきて、フィジカル(現場)でのデータ収集とその活用に強みを持っている」と自信を見せる。
KDDI 取締役執行役員の森敬一常務は、「大容量、超高速、低遅延の特徴を持つ5G通信を事業に生かしていきたい。例えば監視カメラの映像といった大容量データを必要とするお客さんもいるだろう。どういった分野で効果が出るか東芝と一緒に考えていきたい」と語った。
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