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「モンスト」苦戦のミクシィ、20年度は純利益88%減の見通し “ライトユーザー離れ”防げるか

ミクシィの2019年3月期は、大幅な減収減益。不振のモンストをてこ入れするというが、20年3月期の業績予想は純利益が88.7%減と厳しい見通しだ。

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ミクシィの木村弘毅社長

 「『モンスターストライク』(モンスト)を再起させる」――ミクシィの木村弘毅社長は5月10日、決算説明会でそう話した。同社の2019年3月期(18年4月〜19年3月)通期連結業績は、売上高が1440億円(前期比23.8%減)、営業利益が410億円(同43.3%減)、純利益が265億円(同36.5%減)と大幅な減収減益。20年3月期はモンストのゲームシステムを見直し、ユーザーの活性化を図る方針だが、業績予想は純利益が88.7%減の30億円と厳しい見通しだ。

「ライトユーザーの消費意欲が低迷」

 19年3月期の減益要因は、スマートフォンゲーム「モンスト」を主力とし、売上高の大半を占めるエンターテインメント事業の不振だ。モンストの累計ユーザー数(全世界)が5000万人を突破し、MAU(月間アクティブユーザー数)は「依然として高い水準を維持している」というが、ARPU(ユーザー当たりの月間売上高)が伸びなかった。

 木村社長は「ゲームシステムが複雑化したり、古くからプレイしているコアユーザーへの施策を厚めにしたため、新規ユーザーやライトユーザーの消費意欲が低迷した」と説明。今後は「仲間と共闘する」など誰もが楽しめるゲーム内容に立ち返り、ユーザー全体の活性化を図るという。

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モンストの再起(リバイブ)が課題=ミクシィの決算説明資料より

 モンストに次ぐ“第2のヒット”が生まれない現状も憂慮。モンストの派生ゲームのうち、1本がリリース延期、もう1本が開発中止になっている状況を踏まえ、木村社長は「ゲーム開発現場を取り仕切るプロジェクトマネジャー、ディレクターが不足している」と分析。企画・開発体制を見直す。

「モンスト頼みにならないように」 スポーツ事業にも期待

 一方、木村社長は「プロスポーツ経営、公営競技の双方でM&Aをてこにした早期の収益貢献をしていく」と説明する。

 ミクシィは2月、競輪車券をネット販売する「チャリロト.com」の運営会社を子会社化。さらに4月、男子バスケットボールのB.LEAGUEに所属する「千葉ジェッツ」の運営会社を子会社化する方針も発表した。

 スポーツ領域の企業を買収し、ミクシィがエンターテインメント事業で培ったノウハウと組み合わせ、事業を拡大させていく――木村社長はそんな展望を語る。

 ただ、20年3月期(19年4月〜20年3月)連結業績予想は芳しくない。売上高は1000億円(前期比30.6%減)、営業利益は50億円(同87.8%減)、純利益は30億円(同88.7%減)と厳しい数字が並ぶ。

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20年3月期連結業績予想は「コンサバティブな予想」という=ミクシィの決算説明資料より

 大幅な減益予想は、モンストのARPU悪化の現状を反映したもので、“モンスト再起”の施策の効果は加味せず、「コンサバティブな予想にしている」という。木村社長は「経営者としては大きな危機感を抱いている。モンストの再起に加え、モンスト頼みにならないようサステナビリティーが高いスポーツ事業で利益を積み上げる」と話している。

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