“値下げ”しても業績伸ばす――KDDI、19年度は増収増益予想 ドコモと真逆の展開に(2/2 ページ)
KDDIの19年3月期の連結業績は増収増益だった。20年3月期は値下げした新プランをリリースするが、すでに利益への影響があったとしてさらなる増収増益を予想。値下げの影響で減収減益を予想するNTTドコモとは対照的な展開が見込まれる。
新中期経営計画も発表、5Gなど強化
KDDIは15日、5Gの推進やライフデザイン領域の強化などを軸とした中期経営計画も発表した。連結業績の目標は非公開だが、22年3月期までに、ライフデザイン領域の売上高1.5兆円、通信事業など「新ビジネスセグメント」の売上高1兆円などを目指す。
これに対し、19年3月期のライフデザイン領域の売上高は5793億円、ビジネスセグメントの売上高は7968億円だった。20年3月期から事業セグメントの再編を行い、ビジネスセグメントに国外通信事業を組み込むなどするため単純比較はできないが、中期計画の実行によって目標値まで伸長させる。
高橋社長によると、5Gによる通信サービスは20年3月に開始し、5Gに対応した端末は同年3月末までに提供する予定。当初は4Gとのハイブリッドで展開するが、基地局の整備を急ピッチで進める方針だ。中期計画では、24年3月期までに4万2863基を展開し、国内の基盤展開率(無人地帯などを除くエリアに基地局が置かれている割合)で93.2%を目指す。
ライフデザイン領域では、auユーザーがECサイト「Wowma!」「じぶん銀行」「auでんき」といったサービスを利用した際にポイント付与などを行う流れを継続。通信料金を値下げした後も、連携する他領域のサービスから収益を得る仕組みを強固にする。auユーザーの解約防止効果も見込む。
これにより、22年3月期までに、コマース事業では流通額4000億円(19年3月期時点では2500億円)、エネルギー事業ではau電気契約数を340万件(同200万件超)、金融事業では取扱高6兆円(同4.4兆円)をそれぞれ目標とする。
中期計画にはこの他、22年3月期までに累計1000億円のコストを削減することや、25年3月期までにEPS(1株当たり利益)を1.5倍にすること――なども含まれる。
スローガン刷新、過労自殺事件にも言及
達成に向けてスローガンも一新し、KDDI全体では「Tomorrow, Together」、auブランドでは「おもしろいほうの未来へ。」を新たに掲げる。
目標達成に向けた取り組みだけでなく、残業抑制などの“働き方改革”も進める。高橋社長は、15年9月に20代の社員が過労自殺し、労基署から是正勧告と労災認定を受けたことに公の場で初めて触れ、「二度と同じようなことを起こさない。働き方改革を推進し、健康経営を実行していく」と語った。
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