「Oculus Quest」でVR体験が“爆上げ” 約5万円で最高級を楽しめる新時代に突入 その魅力に迫った(1/4 ページ)
5月21日に発売した新製品「Oculus Quest」の注目ポイントを解説します。
VR(仮想現実)ヘッドセットの新製品「Oculus Quest」で、現代のVR体験が“爆上げ”しています。VRに慣れた上級者から、VR未体験の初心者まで、テクノロジーの未来に興味があるなら、ぜひ体験……いや、手に入れるべきものです。だってこんなにもVRが私たちに歩み寄ってくれているのですから……!
5月21日(日本時間)、米Facebook傘下のVR大手・Oculus VRがOculus Questを発売しました。最大の特徴は、映像や電源のケーブル不要でどこでも使えるスタンドアロンのVRヘッドセットでありながら、自分の足で仮想空間を動き回ったり、両手のハンドコントローラーでモノをつかんだり投げたりできることです。
VR空間で手が使える、歩ける──いずれも没入感を高める重要な要素ですが、これまでは高性能なPCを用意したり、部屋に複数の外部センサーを設置したり、あるいはVR専門のゲームセンターに足を運んだりする必要がありました。ハイエンドVRと呼ばれる高価格な機器を用意しなければ体験できない世界だったのです。
しかし、Oculus Questの登場によって、ハイエンドVRの環境にかなり近い体験がVRヘッドセット1つで完結します。
VR元年といわれた2016年から早3年、VRもついにここまで来たかと、VRへの関心が高い人たちの間ではお祭り状態になっています。
詳細なスペックや仕様は、他社の媒体でも多く取り上げられているので、今回は「VR体験の進化」に絞って特徴を紹介します。
我が家にOculus Questがやってきた 日常でVRに触れる頻度が“爆上がり”
記者は市場に出回っているVRヘッドセットを一通り試しています。会社ではHTC VIVE、自宅ではWindows MRと、いずれもハイエンドVRに分類される機器を使っていますが、今も毎日起動しているかといえば、そうではありません。
PC本体から延びるケーブルをかき分け、PCの前に座り、アプリを起動して、VRヘッドセットを装着。ここまで来て、やっぱり別のアプリを起動するためにゴーグルを外し、手元のマウスを操作して……。
これまでのハイエンドVRは高品質なVR体験が魅力でしたが、何よりVRに没入するまでの手順が多すぎました。上級者の方は「運用でカバーしろ」と言うでしょう。分かります。しかし、それでは一般に普及しません。
海外メディアが報じた米IDCの調査レポートを見ても、PC接続が前提のハイエンドVRは、VR体験の満足度は高いものの、使用時間は月に6時間前後にとどまるという結果が出ています。
世間の反応と同様に、記者も日頃の忙しさでVRから距離を置く日々が続いていました。「どうせまた使わなくなるのではないか」──そんな不安を胸にOculus Questを注文したわけですが、家に届いたその日を境に、VRに感じていたハードルが驚くほど下がりました。Oculus Questはスタンドアロンなので、煩わしい事前準備は必要なし。VRゴーグルをかぶるだけで、すぐにハイエンドVRに近い体験が得られます。
この手軽さは圧倒的でやみつきです。これまで感じていた細かなストレスがほとんどありません。
スタンドアロンのVRヘッドセット(左)と、PC接続前提のVRヘッドセット(右)では、必要な周辺機器がここまで違います。これだけでも準備の手間が違うことが分かるでしょう。誤解がないように書いておきますが、後者は準備が大変な分、得られる映像品質やセンサー感度も高いです
この原稿を書いている間にも、休憩がてらOculus Questをかぶり、見知らぬプレイヤーとVR卓球ゲーム「Racket Fury: Table Tennis VR」で熾烈な戦いを繰り広げ、またこうして現実のデスクに戻ってきました。“軽率”にVRへ没入できてしまいます。
これまでに登場したVRヘッドセットの中で、ここまで日常的に使おうと思える製品は初めてかも知れません。特にワイヤレスである強みは圧倒的で、高価なハイエンドVRでも味わえない身軽さは唯一のものです。「VRの体験が変わる」ということをOculus Questで実感しています。
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