映画「キングスマン」にみる現代的スパイと認証のたしなみ:架空世界で「認証」を知る(2/3 ページ)
小説、漫画、アニメ、映画などの架空世界に登場する「認証的なモノ」を取り上げて解説する連載をITmediaで出張掲載。第16回のテーマは「スパイ映画と認証」について。
「掌紋認証」が文字通り鍵を握る
それでは認証の話だ。この世界では掌紋認証がメジャーらしく、キングスマンの秘密基地に入るときにも、ハリーは試着室の鏡に手をかざし、掌紋認証で扉を開いていた。
掌紋認証は指紋認証と違い、成長や加齢で形状が変わって認識率が低下するという特徴がある。つまり、定期的に更新しなくてはならないのだ。
これは一見デメリットに思えるが、物理的に有効期限を設けられることがメリットになる場合もある。特にセキュリティを重視する秘密基地の扉などでは有効となるだろう。
一方、敵役もこの掌紋認証を使ってくる。世界規模の人類抹殺を企むIT企業の富豪ヴァレンタインが、人類に殺し合いをさせる装置の起動に掌紋認証を使用している。しかもこれは手のひらが触れている間だけ起動するという仕組みになっている。
もちろんハッキングで停止することもできないため、人類抹殺を防ぐ側のエグジーは彼を認証装置からどうにかして遠ざけなければいけないのだ。結末はどうなるのか、人類は抹殺されてしまうのか。詳しくは諸君の目で確かめてほしい。
余談:スパイ映画に必須の秘密道具とオマージュ
キングスマンではスパイ映画の必須アイテムである秘密道具も実に英国紳士風だ。
まず、オーダーメイドのダブルのスーツは全て防弾仕様。傘も防弾仕様で、防御している間も向こう側が見えるようになるという逸品だ。紳士の眼鏡は通信・録画機能付きで、さらに遠隔会議用に3D映像を見ることもできる機能まで搭載する。その他にもライター型の手りゅう弾、電撃を与えられる指輪、毒入りペン、さらに靴には毒入りの刃が仕込まれるなどガジェット感満載である。
多くのガジェットは「007」シリーズにも登場するようなものばかりである。そもそもジェームズ・ボンドもサヴィル・ロウのスーツがトレードマークであるし、明らかに意識して作っているのだろう。
さらに、ジェームズ・ボンドといえばマティーニ。ボンドは「ウオッカ・マティーニを。ステアではなくシェイクで」というが、エグジーは「マティーニを。ウオッカでなくジンで。ベルモットは入れずに瓶を見ながら10秒ステアで」と、真っ向から歯向かう注文の仕方をするのだ。
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