IBMのクラウド戦略は第2章に
三澤氏は「クラウド化はパブリッククラウドを使うことではなく、パブリッククラウドで利用しているようなテクノロジーを使うことです。クラウド化するために、既存のレガシーシステムを全部置き換えるのは現実的ではありません。既存のシステムをどこまでクラウドネイティブ化すべきか。それを見極め最適なクラウド化を提案します。このあたりは、パブリッククラウドだけでやってきたところとは大きく異なる点です」と言う。
その上でIBMには、強力なサービス部隊があることも他のクラウドベンダーとの大きな差になる。サービス部隊は、今あるシステムを変革させるのに現実的なハイブリッドクラウドを提案し、その移行作業自体もさまざまな面からサポートできる。そして今後のクラウドネイティブなシステムの開発、運用の体制はDevOpsとなるだろうが、そのために必要となる組織のデザイン、人材の育成も含めIBMはサポートできると三澤氏は言う。
グラマ氏は「IBMのクラウド戦略は、第2章に入りました」と言う。これは先進的なユーザーがまずはクラウドを使い始めたクラウドの第1章が終わり、これからはオンプレミスに残っている8割のシステムの本格的なクラウド化という、新しいクラウド市場が展開される第2章が始まる。その新たな競争の舞台に本格的に参入する訳だ。
見方を変えれば、SoftLayerを買収し大きくクラウドに舵を切った第1章は、思うような結果を出せなかった。その要因の1つは先行するAmazon Web Servicesを真似し、後追いするような戦略をとってしまったからだろう。そこからIBM自体のクラウド戦略を練り直し、仕切り直したがためにクラウド戦略の第2章となった。圧倒的なシェアを獲得しているAWSの優位性は、最早そう簡単に崩れるものではない。しかしながらクラウドの第2章の市場が十分に大きいものならば、今後その中でIBMの存在感を示せる可能性もありそうだ。
関連記事
- 日本IBM・山口新社長が抱負語る 「今はまだ通過点。日本社会のデジタル変革をもっと加速させる」
日本IBMの山口明夫新社長が会見を開催。体制のビジョンと注力分野を説明した。今後は「あらゆる枠を超える」をビジョンに掲げ、ITソリューションの展開や、外部との共同研究を推進。社会全体のデジタル変革を目指すという。 - レッドハット、IBMによる買収後も“ブレない”新戦略 「オープンハイブリッドクラウド」注力、パートナー関係も維持
レッドハットが、2019年4月〜20年3月期の新戦略を発表。今期は「オープンハイブリッドクラウドでIT業界を変える」をテーマに掲げて事業を展開する。「米IBM傘下になっても、市場を見ながらオープンソースを提案していく方針は全く変わらない」という。 - 日本IBM、大阪にクラウドサービスの接続拠点を開設 西日本で初
日本IBMは大阪に西日本初となるネットワーク接続拠点を開設したと発表した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.