中国国境で当局が旅行者のスマートフォンに情報収集アプリを密かにインストール──Guardian報道
新疆(しんきょう)ウイグル自治区のイスラム教徒監視を強化している中国当局が、キルギス共和国からの国境で旅行者のスマートフォンにデータ収集アプリをインストールしていると、Guardianが報じた。
英Guardianは7月2日(現地時間)、中国の国境警察が旅行者のスマートフォンに無断でアプリをインストールし、個人情報を収集していると報じた。同メディアはこれを、中国政府による新疆(しんきょう)ウイグル自治区のイスラム教徒監視強化の一環とみている。
Guardianが米New York Times、独Suddeutsche Zeitung、米Motherboardと共同で調査した。Suddeutsche Zeitungの記者も自分のAndroidスマートフォンにアプリをインストールされた。確認したのは、キルギス共和国から新疆に入る国境。旅行者はここでスマートフォンを起動し、パスワードを入れて手渡すよう求められる。警備員は受け取った端末を別室に持っていき、人によっては約1時間待たされる。
ほとんどの端末はアプリをアンインストールした状態で返却されるが、残っている場合もある。インストールされるアプリは「蜂采」(ミツバチを集める、というような意味)という名称で、端末内のメール、テキストメッセージ、連絡帳などのデータを収集する。
セキュリティ専門家によると、このアプリの目的は、端末に問題のあるデータが保存されているかどうか確認するものという。例えばイスラム過激主義関連のテキスト、アルカイダの記事、武器の使用マニュアル、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の著書、グラインドコアバンドUnholy Graveなどの楽曲などだ。
なお、公式App StoreからしかアプリがインストールできないiPhoneの場合は、スキャンする専用機器に接続されるという。
MotherboardはGitHubにAndroidアプリのコピーを公開している。
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