アスクル、ヤフーに激しく反論 “LOHACO乗っ取り”画策は「明白」 主張は「明らかに虚偽」
ヤフーがECサイト「LOHACO」事業の“乗っ取り説”を否定したことに対し、アスクルが「ヤフーが主体的にLOHACO事業の移管を画策していることは明白」などと反論。
アスクルは7月22日、経営を巡って対立する親会社のヤフーが、ECサイト「LOHACO」事業の“乗っ取り説”を否定したことに対し、「ヤフーが主体的にLOHACO事業の移管を画策していることは明白」などと反論するコメントを出した。
ヤフーがアスクルの岩田彰一郎社長の再任に反対している理由を「LOHACO事業の移管を行いやすくするための社長人事への介入である」と主張。ヤフーに対し、資本・業務提携の解消に向けた協議を再度申し入れたという。
ヤフーの説明は「明らかに虚偽」と主張
ヤフーは、アスクルの業績不振を理由に、共同運営するLOHACOの事業譲渡や、岩田社長の退陣などを要求。これを受け、岩田社長が18日に「このままでは(ヤフーにLOHACO事業を)乗っ取られてしまう」などと発言すると、ヤフーは同日に反論し「アスクルにそもそも譲渡をする考えがあるのか、意向をうかがったにすぎない」「今後も譲渡を申し入れる方針はない」という見解を示していた。
こうしたヤフーの発表に対し、アスクルが22日にさらに反論。「意向をうかがったにすぎない」というヤフーの説明は「明らかに虚偽」と批判した。
アスクルによると、2018年11月下旬、ヤフーがアスクルに派遣している取締役から、LOHACO事業の今後について、譲渡の可能性も含めた相談を受けた。その際、ヤフー側は「LOHACOを、Yモール(仮称)の(一部として)ヤフーの直営店にしたい」「価格設定と品ぞろえの判断はヤフーが握りたい」「小売新会社(出資比率はヤフーが51%、アスクルが49%)を設立してLOHACOを移管する」「新会社では岩田氏は役員に入れない」などと説明したという。
11月末にはヤフー側から「ソフトバンクの宮内謙社長とLOHACO事業移管に関する議論をした」、12月初旬には「宮内社長やヤフー川邊健太郎社長を含む関係者で議論し、アスクルからLOHACOを分社化する方向で、アスクルに申し入れることが決定した」といった報告があったという。翌19年1月には、川邊社長らから譲渡の可能性を検討するよう口頭で依頼があったことも明かした。
また、ヤフーから送付された書面は、譲渡可能な場合にどのような条件となるかを具体的に尋ねる内容で、アスクル代表者の署名か押印を求めるなど「交渉開始意思を強く推測させる内容だった」と指摘。こうした経緯から、アスクルは「ヤフー社が主体的にLOHACO事業の移管を画策していることは明白」としている。
資本・業務提携の解消を再度申し入れ
この他、ヤフーがアスクルの岩田社長の再任に反対している理由を「アスクルの数年にわたる業績低迷の早期回復のため」と説明していることにも、「これは真の理由ではない」と反論。「(アスクルの減益要因である)倉庫火災や物流クライシスは特殊要因であり、岩田社長を含む現経営陣が対処した結果、業績が回復基調に戻っている。一時的な業績悪化の責任を役員1人のみに負わせる理由にはならない」などと論じた。
こうしたことから、アスクルは「(ヤフーが)社長再任に反対する真実の理由は、LOHACO事業の移管を行いやすくするための社長人事への介入であることは明らか」「ヤフーの発表は、当社が記者会見で真実を述べたことに狼狽(ろうばい)し、取りあえず反論する体裁をとっただけの内容」などと批判した。
その上で「友好的な協業により双方の企業価値向上を実現することなど困難」と主張。ヤフーが「議論は不要」と拒否した資本・業務提携の見直しを再度申し入れたことを明かした。
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