立命館大学は文学部で、学問を2つ並行して学べる「クロスメジャー制度」を2020年度から始める。2年次に専攻分野と平行して「デジタル人文学」もしくは「京都学」の講座を選べる。履修者は専攻分野か、デジタル人文学や京都学の卒業論文を執筆して卒業できる。
デジタル人文学は、人文科学の研究手法に統計やデータ可視化といったコンピューティングツールを用いる研究・教育分野。同学には以前から講座としてあったが、副専攻という位置付けだったためデジタル人文学を主とした論文では卒業できなかった。
京都学は京都の歴史・地理・文学などを複合的に学ぶ学問。専攻の一領域だったが、文学部の他の専攻からも京都学を学びたいという声があった。
クロスメジャー制度では、例えば「日本文学」といった従来の専攻を学びつつ、デジタル人文学や京都学を並行して学べる。1つの専門分野だけでなく、学際的な研究をしたいという学生の声に応える。
文学部の矢野桂司教授は、「文学部学生からのデジタル活用への関心が高まっている」と話す。
「文学部の学生からも、青空文庫掲載作品のテキストマイニングや、京都の古地図とGoogle Mapの対応付けといったITを活用した研究が既に出てきている。中学高校でこれから情報系科目が強化されていく中、学生からのニーズはこれからどんどん増えてくるのではないか」(同)と、文学部でも今後デジタル活用が活発になっていくという見方を示している。デジタル人文学履修者は、同学の研究施設「アート・リサーチセンター」が保有する古地図や古典籍のデータベース、くずし字解読システムなどの研究資源を活用できるという。
上野隆三副学長は、「AIが叫ばれる時代に文学部では何をやるのか。AIは有用である一方、苦手なこともある。AIの苦手な分野は文学部がカバーできると思っている」と、文学部からAIやデジタル技術を活用できる人材を輩出していきたい考えを話した。
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