KADOKAWAの1Q、営業利益は約8.7倍に ドワンゴの「Webサービス事業」が黒字転換 構造改革が奏功
KADOKAWAが8月8日に19年4〜6月の連結決算を発表。売上高が前年同期比0.2%増の497億4500万円、営業利益が約8.7倍の34億7100万円と増収増益だった。子会社ドワンゴが担うWebサービス事業の営業損益が黒字に転換した他、出版事業などが好調だった。
KADOKAWAが8月8日に発表した2020年3月期第1四半期(19年4〜6月)の連結決算は、売上高が前年同期比0.2%増の497億4500万円、営業利益が約8.7倍の34億7100万円、最終利益が約7.1倍の26億300万円と増収増益だった。子会社ドワンゴが中核を担うWebサービス事業の営業損益が黒字に転換した他、出版事業などが好調だった。
ドワンゴが担う「Webサービス事業」が黒字転換
Webサービス事業の売上高は、前年同期比3.5%減の65億3800万円、営業損益が5億3400万円の黒字(前年同期は4億1100万円の赤字)。「前期からドワンゴが進めている、不採算事業の廃止などの構造改革の効果が着々と表れている」としている。
ドワンゴは4〜6月にかけて、「ドワンゴ人工知能研究所」の閉所、SNS「friends.nico」の閉鎖、位置情報ゲーム「テクテクテクテク」の終了など、大鉈を振るった。
動画サービス「niconico」の有料会員数は6月末時点で175万人。3月末から5万人減ったものの、17年9月末〜12月末の14万人減、16年12月末〜17年3月末の9万人減、18年12月末〜19年3月末の8万人減といった過去の水準と比べると、減少幅は緩やかになった。
企業や個人クリエイターが動画・生放送・記事などを配信できるサービス「ニコニコチャンネル」の有料会員数は6月末時点で101万人となり、3月末から6万人増えた。
出版事業・ゲーム事業も好調
出版事業の売上高は前年同期比3.8%増の275億8200万円、営業利益が同84.2%増の19億1000万円。「Fate」「文豪ストレイドッグス」「賢者の孫」といったシリーズ作品の売れ行きが好調だった。
映像・ゲーム事業の売上高は前年同期比8.9%増の121億4700万円、営業利益は同2.6倍の22億8200万円。アニメ「オーバーロード3」「盾の勇者の成り上がり」などのロイヤリティー収入が北米や中国で増加した。
ドワンゴの構造改革をさらに推進
通期の連結業績予想は、売上高が2170億円(前期比4.0%増)、営業利益が54億円(同99.4%増)、最終損益が38億円の黒字(前期は40億8500万円の赤字)と黒字転換を見込む。
実現に向け、ドワンゴの構造改革をさらに進める計画で、7月末には同社の施設「nicofarre」(東京・六本木)と「ニコニコ本社」(池袋)の営業を終了し、両施設の機能を11月に開く新施設「ハレスタ」(池袋)に引き継ぐ予定だ。
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