なぜ人気? 世界中のアスリートが「Strava」を使う理由
世界4100万人のユーザーが使うフィットネストラッカーアプリ「Strava」。口コミからユーザーが広がる秘密は。
米サンフランシスコ発の「Strava」(ストラバ)は、195カ国以上で4100万人が利用するアクティビティトラッキングアプリだ。日本ではまだなじみが薄いが、世界中のランナーやサイクリストが愛用しているという。
「口コミ効果で、Stravaのユーザーは1カ月に100万人のペースで増えている」と話すのは、Stravaのジェームズ・クォールズCEO。ほとんどマーケティングには予算を割いていないという同社は、どのようにユーザー数を伸ばしてきたのか。
見た目はまるでSNS 「運動はソーシャルなもの」
Stravaのユーザー増を支えるのは、Facebookのような見た目のソーシャル機能だ。アプリ内では写真やテキスト、アクティビティを投稿でき、フォローしたユーザーの投稿はタイムラインに流れてくる。Facebookの「いいね」に当たる「kudos」を押したり、投稿にコメントしたりすることで、ユーザー同士が交流できる。2018年12月時点で、投稿されたアクティビティ数は累計20億件を突破した。
ソーシャル機能を使ってお互いを励まし合うことで、ユーザーは運動を続けるモチベーションを維持できる。ランニングやサイクリングなどは1人で黙々と行うイメージもあるが、クォールズCEOは「本来、運動はソーシャルなものだ」と話す。
またStravaアプリ内では、同じ嗜好(しこう)を持つユーザー同士が集まる「クラブ」も作成可能。同社調べでは、1人で運動するユーザーより、集団で運動するユーザーの方が、運動時間が延びる傾向にあるという。
「日本でもランニングクラブなどがあると思うが、海外では友人や家族を誘ってランニングをするのは普通のこと。ソーシャルな場に身を置くことで、(ランニングは1人で行うことという)日本人のマインドセットも変わっていくだろう」(クォールズCEO)
競争の要素も取り入れた。アプリ上で走るルートを決める際は、独自にルートを作成できるが、他のユーザーが使っているルートを探して走ることもできる。同じルートを走ったユーザーの記録をチェックできるので、競争意識が芽生えてモチベーション向上につながるという。
また「ヒートマップ」機能を使えば、多くのユーザーによく使われているルートを確認できる。例えば日本の場合、「日本一、Stravaのランナーが多く走っている」という皇居周辺のエリアが明るく光るようになっている。
ビッグデータ分析で分かること
Stravaでは、4100万人超のユーザーから集めたデータを匿名化し、さまざまな分析をしている。先述したヒートマップも活用例の1つだ。交通量の把握などのため、地域の自治体にデータを提供し、街づくりや都市計画に役立てている例もあるという。
また、ビッグデータを分析することで「日本人は他国に比べて午前6時前に走る人が多い」「東京マラソンで良いタイムを出して完走した人は、1週間に5日、計60キロ以上走っている」「夕方以降の皇居ランは(ノー残業デーの会社が多い)水曜日が混みやすい」といった傾向も分かるとしている。
今後はビッグデータで得られた知見をユーザーにフィードバックし、トレーニングに役立ててもらうといった試みを積極的に行っていくという。
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