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Apple Digital Masters、AACでも「24bitスタジオマスターと区別つかない」は本当か?(3/3 ページ)

AppleはiTunes Storeのダウンロード音源を「可能な限りマスター品質に近い形で配信が可能」にするというマスタリングスキームを提供している。本当にそうなのか? 実際に試してみた。

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実際に、音質は向上しているのか?

 さて、理屈は分かった。問題の「聴覚上でほんとうに音が良いのか?」という疑問に迫ろう。Appleは、Apple Digital Mastersの紹介ページで「ストリーミングとダウンロードの両方において、元の24bitスタジオマスターと事実上区別できません」と豪語している。

 音楽制作業を営む筆者が、自らホールでレコーディングしたピアノの音源で試してみた。音源は、業界標準のDAWソフトウェア「ProTools」とドイツ製のオーディオインタフェース「RME Fireface UFX II」を使い、24bit/192KHzで収録したものだ。そのマスタリング前の“素”の音源ファイルと、それをApple Digital MastersでAACエンコードしたファイルを比較試聴した。

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アコースティックな響きのホールでノイマンやサンケンの高級マイクで録音したピアノ音源をApple Digital MastersでAAC化したファイルで試聴したが、「事実上区別できない」と豪語するだけの実力はあった

 結果は、確かに区別がつかない。Appleが「事実上区別できない」と豪語するだけの実力はある。ただ、ホール残響に注意を向けると、ピアニッシモの音が消え入る瞬間の静寂との境目に発生する、わずかな空気の震えや、空間的な広がり感は、“素”の音源ファイルに分がある。とはいえ、こういうアコースティック音源による比較は、あら探しに等しい聴き方なわけで、スタジオ等で録音されたデジタル楽器やデジタル系エフェクトが中心の楽曲であれば、区別がつかないのではないか?

 Amazonがハイレゾ音源のストリーミング配信に参入するというが、これだけの実力があれば、ハイレゾ配信は不要なのでは、と思わせるに十分だ。

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