「クリエイターの情熱を伝えたい」 異色のゲーム情報サイト「電ファミニコゲーマー」編集長の信念(2/2 ページ)
「電ファミニコゲーマー」編集長が「CEDEC 2019」に登壇。ゲームメディアとして電ファミにかける思いを語った。
数値化できないメディアの価値
そんな電ファミは、DeNAとの協賛企画として、約1年をかけて「日本モバイルゲーム産業史」を展開する。当時の記録があまり残っていないモバイルゲームの歴史を年表に落とし込み、関係者への取材や寄稿の依頼なども進めていく。9月3日に公開されたα版には、2009年に大ヒットした「サンシャイン牧場」や「怪盗ロワイヤル」に関する記述がまとめられている。
平さんと登壇したDeNA執行役員の佐々木悠さん(ゲーム・エンターテインメント事業本部 ゲーム事業部 事業部長)は、協賛理由について「開発者にフォーカスするという理念に共感した」と話す。「モバイルゲーム領域の歴史はまだ10年ほど。あまりに高速に流れていくので、開発者がどういう思いで何を作っていたかが語られることも少ない。(モバイルゲームは)ゲームの中で格下という論調もある」(佐々木さん)
これを受け、平さんは「モバイルゲームは黎明期(れいめいき)に、大きな事件や出来事がたくさんあった。とても面白い業界で(開発者が)熱量を持って取り組んでいたことを伝え、佐々木さんがおっしゃったような劣等感を覆したい」と意気込みを語る。
一方で、平さんは「DeNAさんはよくお金を出してくれたなと思った」と苦笑する。ネットメディアではPV(ページビュー)やSNSでのシェア数、誘導したいサイトへの送客数などの数値が可視化される。「読者が共感できる記事の効果はKPI(重要業績評価指標)では計れない」と平さん。「協賛企画でも最初はKPIの話があったが設定が難しく、DeNAにはこの先にある価値にコミットしてもらった。日本モバイルゲーム史を調べるなら必ずここへ行き着くようなものにしたい」と展望を語った。
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