なぜZOZOは本気でAIに取り組むのか 「アパレルの価値はAIで上がる」の真意を聞く:これからのAIの話をしよう(ファッション編)(5/5 ページ)
2019年に「AI化元年」の宣言をしたZOZO。ZOZOグループはなぜ今AIに本気で取り組もうとしているのか。キーマンに聞いた。
マスクド:「顧客にとっての課題」の発見の重要性が上がってますよね。
金山:そうなんですけど、「これが課題だ」ときちんと認識できて、偉い人を巻き込んでリスクを取って進めるほうが難しいです。AIを実装すると、中のロジックが説明できなくなってしまうので、全体をグリット(やり抜く)できる人材の重要性は上がりますよね。そういう人に対して、組織的にサポートできる経営者でありたいです。
マスクド:どうしてそうした人材の重要性が上がるのですか?
金山:AIは因果で説明する必要がないからです。相関でいいし、何なら目標を達成していたら何でも良いのではとも思います。人間が分からないから機械に計算させているわけで、人間が分かるならAIなんか不要ですよ。因果が必要なら既存のマーケティングでいい。ただ、データサイエンスを突き詰めても因果って難しいと思うんですよ。だったら機械の結論を信じ切る方が良いでしょう。「因果がないと説明責任が果たせない」といいますけど、本来ならまずは結果なんです。説明責任を果たしたら、結果は関係ないのでしょうか? 与えられた権限の中でやり切り、結果を果たすしかないです。
マスクド:既存のシステムを作った人は、その後どうしても慎重になってしまい、結果より過程を大事にしがちですよね。挑戦してやるだけやったなら、評価してあげたい。
金山:挑戦は基本的には失敗します。できないことをするから挑戦というのです。さっきマスクドさんから著書「未来IT図解 これからのデータサイエンスビジネス」の献本をいただきましたけど、「この書籍を1時間で読了する」ことは挑戦ではないですよね。普通に読めるので。でも「30秒で読んで、感想を400字にまとめる」となったら、これは挑戦です。何回やってもできないですから。でも、100回目にはできるかもしれない。それが挑戦なんです。自分は失敗とは単に「望んでいた結果を得られなかったこと」だと考えていて、挑戦のプロセスで学びが得られたならそれで良いと考えています。挑戦に成功するまでやり続ければ良い。挑戦とは失敗が前提にあります。あきらめずに継続的にやり続けることで成功になるんです。
(つづく)
著者プロフィール:松本健太郎
株式会社デコム R&D部門マネージャー。 セイバーメトリクスなどのスポーツ分析は評判が高く、NHKに出演した経験もある。他にも政治、経済、文化などさまざまなデータをデジタル化し、分析・予測することを得意とする。 本業はインサイトを発見するためのデータアナリティクス手法を開発すること。
著者連絡先はこちら→kentaro.matsumoto@decom.org
著者より単行本発売のお知らせ
松本健太郎さんとマスクド・アナライズさんの共著「未来IT図解 これからのデータサイエンスビジネス」が発売されました。これまでは明らかにされなかった本当のデータサイエンスビジネス、今だからこそわかるデータサイエンスビジネスの話を盛り込んでいます。詳細はこちら。
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