AIが人間を孤独から解放する? ゲームAI開発者が語る未来「人間中心の社会が変わっていく」(3/3 ページ)
アンドロイドと人間が共生する社会はどのような姿なのか。PS4ソフト「Detroit: Become Human」をテーマにしたトークイベントが日本科学未来館で開催された。
ゲームAI開発者の三宅さんは、「AIがこれまでの技術と違うのは、人と人の関係性を変える可能性を持っていること。AIが人と人の間で生じる摩擦を除去してくれる」と話す。どういうことなのか。
三宅さんは、AIが間に割って入ることで、SNS上での言い争いも緩和できるのではないかと考える。今でもSNS上には多くのbotがいるが、知らない間にbotが人間のけんかを仲裁してくれるようになったりするのかもしれない。裏を返せば、争いを激化させたり、差別や偏見を助長したりといった使い方もできてしまうだろう。
いずれにせよ、AIが担う役割は増えてくるはずだ。「SFの世界では、AIだけと会話する生活を送る人間も案外幸せに暮らしていたりするが、(その世界で生きる人は)何かを失っている。人間は摩擦しながら生きていく部分があるが、AIはその摩擦を人間ほどうまく吸収できない」と三宅さん。「将来、SNS中毒みたいにAI中毒みたいなものが出てくるのかもしれない」と、AIはもろ刃の剣であると指摘する。
AIは「人間の知能を相対化する」
三宅さんは、AI開発やゲームというメディアが持つ可能性についても語った。
「AIを作る面白さは、人間の知能を相対化できること。人間は最も高い知能を持つ生命として孤独な存在で、対等な視点を望んでおり、それがAI研究を進めるドライブにもなっている。AIの作り手としては、最終的にはAIは人の手から離れて生命体として自律してほしい。人間中心の社会を相対化できれば、社会のデザインも変わってくるだろう」(三宅さん)
人間と同等の高度なAIを望みながら、同時に恐れも抱いているという三宅さん。自身も「FINAL FANTASY XV」にAIを搭載するキャラクターを実装するなど、ゲームというメディアを通してAIと人間が出会う場を作っている。
「デジタルゲームは、AIと人間が出会うメディア。(プレイヤーに)AIとの出会いを与えることで、人間の“知能感”が変わるような体験をしてもらいたい」(三宅さん)
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