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より短く! 短時間化する「バズる動画コンテンツ」動画の世紀(1/2 ページ)

短い動画の方がウケる、そういう統計が出ているそうです。その理由とは?

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 YouTubeのトレンド・カルチャー統括部長を務めるケヴィン・アロッカさんは、著書「YouTubeの時代」の中で、「動画をバズらせるために、長さを1分59秒以内に収まるようにしていた」という趣旨の解説をしています。逆に言えば、「長い動画はバズらない」というわけですね。もちろんこれは絶対的なルールではなく、30分近い長い動画がバズった例も本書では解説されている(それが例外となった理由の考察も併せて)のですが、基本的には登場する多くのバイラル動画が、数分程度の長さに収まっています。

 とはいえ、本書の原著が発売されたのは2018年1月。本書のための調査や研究はそれより前の時代を対象にしているので、「1分59秒」というルールは2年以上前のものと言えるでしょう。それではいま、「バズる動画」の長さはどうなっているのか――そう、1分どころか数十秒、あるいはそれ未満の長さが最適と見なされるなど、どんどん短くなっていることが指摘されています。

短くなる動画コンテンツ

 例えば本連載でもよく取り上げている、「ショート音楽動画共有アプリ」として若者に人気のTikTok。このサービスで投稿できる動画は15秒(一部ユーザーは60秒)までであり、そもそも2分や3分といった動画は作成できません。

 最近「異性や子供の姿に自分の顔を変えられる」として日本でも話題になったSnapchatも、本来は短い動画をやり取りするなどしてコミュニケーションできるメッセージアプリで、こちらで投稿できる動画は10秒以内となっています。このSnapchatに対して、「10秒ではストーリーを語るのに短かすぎる」として対抗馬になるべく登場した新しい動画アプリ「Firework」も、上限は30秒となっています。確かに競合アプリより2〜3倍の長さで投稿できるとはいえ、1分59秒以内というルールだった2年前と比べれば、はるかに短い動画と言えるでしょう。

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Snapchatの対抗馬、Firework

 動くGIF画像(これも非常に短い動画コンテンツの一種ですが)をSNS等に投稿できるサービス「GIPHY」のアレックス・チャンCEOは、2018年のSXSWで「コンテンツの終わり」と題した講演を行い、コンテンツが二極化するという予想を示しています。一方の極は、Netflixが手掛けるようなオリジナルの長編コンテンツ。もう一方の極は、上記のような数秒〜数十秒のごく短いコンテンツです。そして彼は、短編コンテンツの極ではさらに時間の短縮が進み、その平均時間は6秒以下になるのではないかという見通しを示しています。

 アニメGIFの配信サービスを手掛ける企業のCEOですから、この発言はポジショントークとも言えるのですが、チャンさんは幾つか証拠を示しています。まずは平均的な大人が注意力を持続できる時間は、たったの8秒なのだとか。これはMicrosoftが2015年に発表した研究結果で、それによると、2000年にはこの長さが12秒あったそうです。12秒でも相当短いですが、そこから15年で30パーセント以上も低下したことになります。

 またFacebookに投稿される動画の平均視聴時間も、わずか10秒なのだそうです。残念ながらストーリーを練り上げて、それを30秒の動画にしたとしても、起承転結の転はおろか承すら見てもらえない可能性があるわけですね。

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