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「細胞の電気信号」から神経回路の“つながり”推定 京大とNII
京都大学と国立情報学研究所(NII)、情報を伝える神経細胞の電気信号から神経細胞同士のつながりを高精度に推定する解析方法を開発したと発表した。
京都大学と国立情報学研究所(NII)は10月2日、情報を伝える神経細胞の電気信号から神経細胞同士のつながりを高精度に推定する解析方法を開発したと発表した。脳神経回路の構造や情報処理メカニズムを理解しやすくなると期待される。
研究チームは、神経細胞の電気信号データに混じった外部信号の影響を消すため、統計解析の一種である「一般化線形モデル」を利用。さらに、信号間の相関性について解析を進めることで、神経結合を自動的に抽出できるようになったという。
結合推定の精度は97%で、既存手法の93%を上回った。脳の局所回路に近い、1万個のモデルニューロンからなる大規模神経回路のシミュレーションでも新手法の有効性を確認できたという。
ラットから計測した実験データを用い、記憶を司る「海馬」の神経結合を推定したところ、専門家による各細胞の興奮性・抑制性の判定と、新手法による推定結果が一致することも確認できたとしている。
解析用のプログラムは、誰でも利用できるようにWebアプリケーションとして京都大学篠本滋教授のWebサイトに公開されている。
研究成果は、同日付で英科学誌Nature Communicationsに掲載された。
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