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AI記者、AI小説家、そしてAI作曲家も――創作する人工知能を支える技術よくわかる人工知能の基礎知識(2/5 ページ)

ビジネスに役立つAIの基礎知識について分かりやすく解説する連載。今回のテーマは「コンテンツ生成」について。

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 2012年に公立はこだて未来大学の松原仁教授らが始めたプロジェクト「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」もその一つ。これは、AIに作家・星新一さんのショートショートを解析させ、新たな作品を創作させるという試みだ。

 このAIは、16年に開催された日本経済新聞主催のショートショート中心の文学賞「星新一賞」の第3回で、一次審査を通過するまでに至った。ただし、当時のAIはプロットを作れなかったため、松原教授らが設定したプロットに基づいて文章を書くだけだったという。

 絵画の世界でも、AIが筆をとっている。フランス・パリに拠点を置くOBVIOUSは、2018年10月にAIが描いた絵画「Edmond De Belamy」を出品。当初落札価格は1万ドル程度と予想されていたが、実際はその40倍以上となる43万2500ドル(約4900万円)で落札されて話題になった。


約4900万円で落札された、AIによる肖像画「Edmond de Belamy」(OBVIOUSのWebサイトより)

 なぜAIに人間が行ってきた創作活動をやらせるのか。その目的の一つは、人間のアーティストでは対応しきれないニーズを埋めることだろう。

動画からAIが曲を生成

 19年7月、動画共有アプリ「TikTok」を運営する中国のByteDanceが、英国のスタートアップJukedeckを買収したという報道が流れた。Jukedeckは、映像を解析し、それに合った音楽を自動生成するAIを開発している。ByteDanceはこのAIをTikTokと組み合わせ、ユーザー体験を向上させようと考えているようだ。

 自分で映像編集をした経験がある人なら、音楽の有無でがらっと雰囲気が変わることを実感しているだろう。しかし既存の音楽を使えば著作権違反になるし、オリジナル曲を作るのはハードルが高い。そうしたニーズの隙間をAIが埋めてくれる。

 「イノベーションのジレンマ」などの著作で知られるクレイトン・クリステンセン氏は、新技術が普及する際、まずは何らかの理由で既存技術が使われていない「無消費」の領域から浸透が始まると主張している。人間の隙間を埋めるAI記者やAI作曲家も同じような流れで普及していきそうだ。

コンテンツ生成を支えるAI技術

 こうしたコンテンツ生成に、AI関連技術がどのように生かされているのか。いくつかの技術や手法、またそれを活用した主なアプリケーションを見ていこう。

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