小型スマートグラス「NrealLight」、日本の開発者にキットを無償貸し出し 日本投入に意欲
MR対応スマートグラス「NrealLight」を開発する中国Nrealは、日本で同端末向けのアプリを作る開発者の獲得に注力する考え。
現実世界に3Dオブジェクトなどを重ねて表示する「Mixed Reality」(複合現実)の技術に対応するスマートグラス「NrealLight」を開発する中国Nreal Ltd.は10月7日、日本で同端末向けのアプリを作る開発者の獲得に注力すると発表した。日本の開発者を支援するプロジェクト「Project Eve」の参加申し込みを9日から受け付け、選考を通過した人にはNrealLightを1週間無償で貸し出すという。
Project Eveに応募できるのは、日本のAR/MRアプリを作る開発者。応募者は現在の開発状況などをNreal側に提出すると、スキルなどの審査が受けられる。Nrealは審査を通過した人にNrealLightデベロッパーキットを貸し出す他、迅速なテクニカルサポートを提供するという。Nreal側と交流する機会も設け、NrealLightの最新情報も届けるとしている。
88グラム、6DoF対応のMR対応スマートグラス
NrealLightは、AndroidスマートフォンやPCと接続して利用するスマートグラス。スタンドアロン式ではない分、本体重量を88グラムと軽量化した。片目の解像度は1080pで、表示できる画角は52度。前面には3つのカメラを備え、6DoF(3軸の並進・回転)のトラッキングに対応する。
マイクとスピーカーを備え、将来的には音声コントロールも対応する他、接続したスマートフォンや外部コントローラーを利用してアプリケーションを操作することも可能だ。
開発者向けモデルは9月にリリース済みで、消費者向けモデルを2020年前半に発売する予定。操作できるスマホの拡充も進める予定で、同社は19年中に600万台、20年に1300万台のスマホに対応するとの目標を掲げている。実現に向け、現在はソニーや中国ZTE、韓国LGなどとの提携を進めているという。
日本投入も予定しており、KDDIと戦略的パートナーシップを締結済み。ソフトバンクは8月に行った5Gプレサービスの体験会で、バスケットボール試合をさまざまな角度から捉え、3Dに再構成した映像を閲覧するデバイスとして同端末を利用した。
日本国内での価格は未定だが、「関税や為替レートを考えると6万〜7万円弱になると見ている」(同社バイスプレジデントのJoshua Yeo氏)という。
Project Eveで日本の開発者を支援することで、国内の企業や消費者の目的・用途に合ったアプリを多く開発してもらい、リリース後に多くのシェアを獲得する狙いとみられる。
「エバンジェリスト」の募集も開始
Nrealはこの施策に併せ、同社と開発者や消費者をつなぐ「エバンジェリストプログラム」を始めることも発表した。NrealLight向けのアプリを開発する他、国内でコミュニティーの運営やイベント企画・実行に携わる企業を募る取り組みで、AR/VRサービスの開発などを手掛けるMESON(東京都渋谷区)、ARゲーム開発のENDROLL(東京都渋谷区)、AR×エンタメを手掛けるGRAFFITY(東京都渋谷区)など5社が名乗りを上げているという。
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