イープラスに聞く、悪徳転売業者を駆逐するまで チケット購入アクセスの「9割占めた」botを徹底排除:迷惑bot事件簿(特別編)(2/4 ページ)
botを駆使してチケットを買い占める高額転売業者にイープラスがどのように立ち向かったのか。「迷惑bot事件簿」(特別編)では、イープラスの小西雅春氏にインタビューし、当時の戦いを振り返る。
小西 他にも、熱狂的なファンに支えられているアーティストの、ライブハウスなどでのイベントチケットが高額転売されるケースがありました。そうした比較的小規模なイベントでは、申し込んだ順に整理番号が付いたチケットを販売することがあります。若い番号のほうが、良い位置のブロックで席が取れる仕組みです。
転売業者はbotを使って、販売開始と同時に大量の申し込みをし、良席のチケットをいったん独占します。その結果、一般のお客さまには比較的後方の席が割り当てられてしまいます。
転売業者も全てのチケットを転売できるわけではありません。転売できなかったチケットは、その後決済処理がされないまま業者がリリースし、イープラスの在庫に戻ります。それらの席が復活したタイミングでチケットを購入したファンが、最初に購入したお客さまより良い整理番号、例えばステージ2列目の席が割り当てられる、といった逆転現象が起こることもあります。
すると、ファンの間で「私は販売開始と同時に購入して前から20列目だったのに、ずいぶん後から購入した別の人は2列目だった」という不満が生まれ、イベントプロモーターやアーティスト事務所にクレームが入ってしまいます。先着販売という仕組みの中でフェアに販売できなくなりますし、そのように在庫に戻された席が最終的に売れ残ってしまうと、イベントの収益面でも大問題になります。
中西 自分が買おうとしたときには売り切れになっていて、その後に席が復活していても、気付かなくて購入を諦めてしまっていることもありそうですね。席が取れない超人気のイベントなのに、やたら空席が目立っていたという経験談を時々耳にしますが、そのような迷惑行為も一因になっていたのかもしれませんね。
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