ミクシィの上半期、最終利益83%減 モンストの苦戦続く 木村社長は「V字回復狙う」と強調
ミクシィが2019年4〜9月期の連結決算を発表。売上高が前年同期比34.1%減の468億3500万円、営業利益が80.5%減の40億3500万円、最終利益が83.0%減の21億9200万円と減収減益だった。モンストのARPU低下が響いた。
ミクシィが11月8日に発表した2019年4〜9月期の連結決算は、売上高が前年同期比34.1%減の468億3500万円、営業利益が80.5%減の40億3500万円、最終利益が83.0%減の21億9200万円と減収減益だった。主力のスマートフォンゲーム「モンスターストライク」(モンスト)のARPU(ユーザー1人当たりの平均売上高)低下が響いた。
モンストのMAUは復調
セグメント別では、モンストなどのゲーム運営やプロスポーツチームの経営を含む「エンターテインメント事業」の売上高は前年同期比33.7%減の451億3800万円、営業利益は61.7%減の97億2400万円だった。
モンストでは、7月からゲーム内通貨「オーブ」の無償配布や、他社IPとコラボしたキャラクターを輩出する「ガチャ」などを相次いで実施したが、ARPUは低下した。だがミクシィの木村弘毅社長は「休眠ユーザーを呼び戻し、MAU(月間アクティブユーザー数)は大幅に復調した。10〜20代のユーザーも開拓できた」と強調した。
MAUの数値や推移は非開示だが、8月に「モンストよ、俺たちの声を聞け!」と題し、Twitterに不満を投稿したユーザーに賞品が当たるキャンペーンを打ったことなどが活性化につながったという。木村社長は「自虐的な面もあったが、『モンストの運営はユーザーの声を聞いてくれるんだ』と感じてもらえたのでは」と語った。
減収が続くモンストの復調に向け、ミクシィは上半期中にモンスト事業の体制を変更。16年ごろに3周年イベントを成功させ、事業を立て直したマーケティング担当者(当時)をモンスト全体の責任者に据えた。「俺たちの声を聞け!」キャンペーンなどを主導したのもこの人物だという。
ライフスタイル事業も苦戦、ジムは閉店決定
SNS「mixi」、写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」、トレーニングジム運営などの「ライフスタイル事業」の売上高は前年同期比43.4%減の16億9700万円、営業損益は4億3900万円の赤字(8億1500万円の赤字)だった。
減収となった要因は、結婚支援事業を手掛けるDiverseを、同業のIBJに18年7月に譲渡した影響という。ミクシィはトレーニングジム運営をライフスタイル事業の注力分野に位置付け、東京都世田谷区に女性専用ジム「ココサイズ」を出店していたが、顧客獲得に苦戦。11月末での閉店が決定した。
モンストでV字回復目指す “ホームラン狙い”で新作開発も
通期業績予想は売上高が1000億円(前年比30.6%減)、営業利益が50億円(同87.8%減)、最終利益は30億円(同88.7%減)のまま据え置く。詳細は非公開だが、達成に向け、モンストでさらなる新キャンペーンを予定している。2月に完全子会社化したチャリ・ロトによる競輪くじの販売や、オンライン年賀状サービス「みてね年賀状」などにも力を入れる。
木村社長は「下半期は、復調したモンストのMAUを生かし、消費意欲をかき立ててARPUを改善したい。年末年始商戦に向けて『お正月といえばモンスト』といった盛り上げ方をし、V字回復を狙う」と説明。
「新規タイトルも、常にホームランを狙って開発している。テーマとなるのはコミュニケーション。家族や友達が集まってワイワイできるゲームを作っている。それに特化しているからこそ独自性が高く、当たったときに大きく跳ねると考えている」と語った。
関連記事
- ミクシィの1Qは85%の営業減益 止まらぬ「モンスト」不調 責任者変更で原点回帰へ
ミクシィが2020年3月期第1四半期の連結決算を発表。売上高が前年同期比39.9%減の207億8000万円、営業利益が同85.2%減の16億3700万円、最終利益が同84.4%減の11億3400万円と減収減益だった。不調が続くモンストの責任者を変更しており、原点に回帰してV字回復を目指すとしている。 - mixiまだ使っている人、7割が「毎日利用している」
mixiは終わっていない。利用者アンケートによると、現在も利用しているユーザーのうち、毎日利用している人は7割に上るという。 - 「モンスト」は不調、「パズドラ」は好調 明暗分かれた決算
「モンスト」を運営するミクシィの19年3月期は、大幅な減収減益。一方、「パズドラ」のガンホーは18年12月期は減収減益だが、直近の2四半期では復調傾向。スマホゲームの二大巨頭で明暗が分かれた。 - コロプラ、19年9月期は最終利益74.5%減 「ドラクエウォーク」が救世主になるか
コロプラが2019年9月期の通期連結業績を発表。売上高が前年比15.0%減の389億2000万円、営業利益が57.5%減の29億5200万円、最終利益が74.5%減の10億7000万円と減収減益だった。既存タイトルが不調だったが、9月12日に「ドラゴンクエストウォーク」をリリースしてから改善の兆しを見せている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.